2018年10月3日水曜日

JR日高本線の再生に関するアンケート

こんにちは、代表の村井です。
大変ご無沙汰しております。

この度の胆振東部地震で被災された方々には、メンバー一同心よりお見舞い申し上げます。私たちの会のメンバーも一人、被災してしばらく避難生活を余儀なくされておりましたが、発災後2週間ほどで自宅へ戻ることができました。余震も続く中、今後の生活への影響も大きいことと存じますが、一日も早く日常を取り戻せることを願っております。

さて、この度9月4日付で、私たち「JR日高線を守る会」は、「日高線の未来を考える会」と連名で議員の方々へアンケートを実施いたしました。「JR日高線の再生に関するアンケート」と題しまして、議員9名(国会議員7名、道議会議員2名)の方々に送付、結果6名の方からご回答いただきました。送付した議員の方々は以下の通りです(※名前の後の〇×は、回答の有無)。

 ・堀井学  衆議院議員・自民党     ×
 ・山岡達丸 衆議院議員・国民民主党   〇
 ・伊達忠一 参議院議員・自民党     × (※参議院議長)
 ・小川勝也 参議院議員・立憲民主党   〇
 ・長谷川岳 参議院議員・自民党     ×
 ・徳永エリ 参議院議員・国民民主党   〇
 ・鉢呂吉雄 参議院議員・立憲民主党   〇
 ・金岩武吉 道議会議員・結志会     〇
 ・藤沢澄雄 道議会議員・自民党     〇
 (順不同・敬称略)

※伊達参院議員は、参議院議長という立場上、国民からの請願やアンケート等に答えることはのぞましくないということになっておりますので申し訳ありません…とのことでした。




【議員の皆さまにお送りした設問】

1.JR北海道は輸送密度200人未満の線区についてバス転換の意向を示していますが、日高町からの問合せにより、運休前の平成26年度の苫小牧-日高門別間の輸送密度が462人であることが明らかになりました。鵡川-日高門別間の線路は被災していないため、私たち守る会は日高門別駅までの早期運行再開を求めてまいりました。日高門別駅までの早期運行再開、およびこれからのJR日高本線と日高の地域振興(住民生活や観光振興など)について、どのようにお考えですか。日高本線は146.5kmの長大路線(※現運休区間は116km)であることをふまえてお書きください。


2.日高本線は、高波で被災した大狩部の護岸整備がなされず、漁業被害も放置されたままの状態が続いています。国鉄分割民営化により、鉄道用地はJR旅客会社の所有となりましたが、現行法の下では、被災した鉄道用地は鉄道会社に復旧義務が課せられています(海岸法施行規則)。国土は社会の根幹をなすものでありますが、鉄道用地であることを理由に民間企業に一部の国土の復旧義務を負わせている現状について、どのようにお考えですか。

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早速、以下に6名の議員の方々より頂いた回答を転載いたします。
地震災害対応で多忙を極める中、ご対応ご協力いただいた議員の皆さま方には、本当にありがとうございました。

(以下敬称略)


参議院議員 鉢呂吉雄

1.
 今回の北海道胆振東部地震の被害を受け、さらにJR日高本線の再生が置き去りにされないか大変危惧しております。私は一昨年の参議院当選後から台風災害の現地を繰り返し調査し、この問題について国土交通省とJR北海道に対し、早期復旧を求めてまいりました。部分復旧についても強く要請をしてまいりました。国土交通省からの回答は「地方自治体や関係者の皆様と密接に連携しながら、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた取組に対する必要な支援、協力を行っていく。」といったもので、主体的に関わっていく姿勢が感じられません。
 JR日高本線は地域住民、特に学生や高齢者などにとっての重要な生活の足であるだけでなく、観光振興にも大きく寄与するものであり、とりわけ風光明媚なこの地域に今後ますます増加する外国人観光客を取り込むためにも、その復旧は必要不可欠なものと考えます。


2.
 一部で護岸復旧工事が行われるとの記事があり、国土交通省に問い合わせましたが、第三者への配慮(破損した護岸壁のすぐ近くに民間建築物あり)という理由でJR北海道の負担で行うとの説明で、国土保全の観点から国の責任感がまったく感じられませんでした。
 国鉄分割民営化を行った責任として、国はJR北海道に対して、財政支援を含めた長期的・抜本的支援を行うべきであり、立憲民主党として経営安定基金の積み増しや、鉄運機構を通じた助成金や長期の財政投融資の活用、地方創生推進交付金や北海道開発予算、北海道特定特別総合開発事業推進費など既存の交付金・補助制度の予算を上積みし利活用できる仕組みの構築など、先日、国土交通大臣に対し申し入れを行ったところであります。


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参議院議員 小川勝也

1.
JR日高本線の再生につき、御要望と御尋ねをいただきましところ、9月6日の胆振東部地震発災で大きな被害が加わり、再生の遅れを懸念しております。
 まずは、早期の復旧はもとより、国土保全・地域住民の福利を優先した再生への取組みをすすめてゆきたいと思います。
 地域資源を活かした観光や一次産業振興も大切な課題です。


2.
 JR北海道の自助努力に頼るだけでなく、北海道はもとより国の更なる支援が必要です。中長期的な日高地域の総合的な見地から本線の復旧を進め、沿線住民はもとより道内全体の課題です。今般の震災被害で防災、社会資本整備の観点からも、積極的な再生への施策が必要です。



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参議院議員 徳永エリ

 私は、国、道、JR北海道、自治体が協力して、JR日高本線の全面復旧の為の工事を進めるべきだと思います。被災していない区間だけの運行再開では、全面復旧が益々先送りされるのではないでしょうか? 人口減少が、深刻な状況の中で、輸送密度200人未満の線区だからバス転換という事がそもそも問題です。通勤、通学、通院、命の足であり、これが無くなれば、都会の学校に下宿して通う、利便性を求めて札幌などへ引っ越しをする、地元の企業には就職しないなど、地域への影響は大変に大きいと思います。生活の足としての利用者が少ないのであれば、それ以外のことで増やしていく。やはり、観光とインバウンドが鍵になると思います。それなりの投資も、知恵も必要です。自治体の覚悟が必要ですし、民間企業との連携も必要でしょう。太平洋の美しい海と、その海に沈む美しい夕陽、全国一の軽種馬産地として、独特の景色。日高本線を走る列車の旅は、北海道の重要な魅力ある観光資源です。そして、鉄道があって、多くの方々がその地域に入るからこそ、地域の経済が発展します。国は、JR北海道に対し、2年間で400億円の支援を決めると同時に、監督命令を出しました。見直し、廃線を2年間先送りしただけだという方がおりますが、国も多発する災害復旧費など、財政的に厳しく、やはり、自治体やJR北海道の目に見える努力と成果がなければ、JR北海道への支援に関する国民理解が得られません。この2年間で、日高本線だけの問題ではなく、北海道の鉄道の路線維持に向けてオール北海道で、サービスも含めた評価を得られる努力をあらゆる知恵を絞って行っていかなければなりません。

 これは、JR北海道だけの問題ではありません。他の鉄道会社も、被災した際には、一部、国の補助があるものの、鉄道会社が復旧の為の工事、費用の負担をしています。そもそも、赤字路線で、工事費用をかけられない事を理由に、廃線へと繋がるローカル路線が全国に見受けられます。しかし、経営が順調な鉄道会社ですら、赤字路線に対しては、そのような状況ですから、JR北海道のような赤字会社の場合、災害復旧工事にかかる費用がそもそも出せない、従って、被災した路線は廃線への道を辿るしかないという事になってしまいます。公共交通機関としての鉄道をしっかりと国の責任において維持していく為には、海岸法施行規則の見直しも今後、国会において検討しなければなりません。


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衆議院議員 山岡達丸

1.
 日高方面には、有数の自然環境と共に、軽種馬の牧場が多数あります。日本国内のおよそ80%の繁殖牝馬は北海道日高地方に集中しており、胆振地方とあわせると実に97%の繁殖牝馬がこの地域のみに存在しています。地域住民にとってはごく当たり前の風景でも、他地域、特にアジアを中心にした観光客にとっては、非常に希少な風景であり、こうした地域資源は十分に活かしていかなければなりません。
 北海道はとりわけ、札幌を中心に街づくりがされていますが、外国人観光客が増加の一途をたどる中で、本来であれば新千歳空港を中心に交通網の整備を進めていくべきであると思います。例えば、新千歳空港との直結において日高方面にJRがきちんと整備されるのであれば、空港から降りた外国人観光客の呼び込みはもちろん、地域住民も飛行場において高い駐車料金を払うよりは、JRを利用したほうがよいという需要が生まれるものと考えています。あわせてご指摘にもあるとおり、少なくとも日高門別駅までの間における早期復旧はあってしかるべきものと思っています。
 ことし9月6日の震災を受けて、JR北海道では日高線について、苫小牧~むかわ間も含めて全線「再開は未定」という発表がなされ、一時関係者の間で「また震災を機に運行停止か」といった観測が流れました。このことを受け、9月10日開催の災害合同対策会議において「JR北海道、特に日高線全然が運行未定などということは、被災地の強い思いとして、まかりならない、一日も早く復旧方針を出されよ」と国土交通省に対し要請しましたが、2年内を目途に復旧方針を固めた」旨の報告があったところです。むかわ町までの早期復旧決定の経過を見る中で、災害対応の初動時に迅速に強い意志をもって政治の中で要請することが肝要だということを感じます。
 昨年の10月に国会議員としての立場を頂いて以来、一貫して早期復旧の立場の中で活動させていただいているところでありますが、引き続き、事態の改善に繋げるべく取り組んでいきたいと考えています。

2.
 ご存知の通り、新冠町の大狩部付近などは護岸整備が行われないまま、沿岸が波にさらされている状況が3年以上にわたって放置され、沿岸のJR日高線の線路部分はもちろん、その上方にある国道までもが、危険な状態となっています。
 ことしの2月19日、国土交通省の本局から担当者を新冠町の現地に呼び、対応を求めたところ、国交省の担当者は「JR北海道が所有しているので、JR北海道が復旧の意志を示せば、護岸整備も含め国が必要な支援できる」と述べました。しかしJR北海道はご存知のとおり、地域住民の危険を顧みず、復旧への意志を示そうとしません。
 最も正当な解決方法は、JR北海道が災害復旧に向けて、国に申請を行う事です。一方で、国土交通省の任務(国土交通省設置法第三条に規定)として「国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の整合的な整備」とあること、またJR北海道の100%株主である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、理事長などの人事を国土交通大臣が任命するとなっている関係性などを見たときに、JR北海道は事実上、国営に近い状況を維持していること、以上の点を踏まえて、住民生活を守るという観点において、国土交通省は主体的に護岸整備へ役割を果たすべきだと考えています。
 この件については、ことし5月16日の国土交通委員会にて、議題として取り上げ、石井国交大臣に対し、国の責務として護岸整備を行うよう、質疑を通じて強く要請したところでもあります。引き続き、重要な地域課題として取り組んで参ります。



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北海道議会議員 金岩武吉

1.
 2015年1月にJR日高線が被災により運休してから、すでに4年もの歳月が経とうとしております。この間、復旧に向けた姿勢すら見せないJR北海道や国の対応には何とも言い難い憤りを感じております。
 JR北海道はバス転換の意向を示しておりますが、将来的にバスの運転手不足がさらに深刻化することが懸念されるなど、長大路線である日高線の代替交通手段と成りえるのか疑問であり、高齢化社会が進展する中、自動車を持たない方や学生にとっても、鉄道は安心して利用できる重要な交通機関であります。
 また、日高地方の地域振興を図るためには交流人口の増加が必要であり、急増する外国人観光客の移動においても基幹交通として日高線が必要不可欠であり、太平洋を一望できる風光明媚な情景や地域の食や馬産地としての魅力などの地域資源と世界を繋ぐためにも、日高線の役割は益々大きくなるものと考えます。
 したがって、日高門別駅まではもとより日高線全線の早期運行再開が必要と考えます。

 ご質問のお答にはならないかもしれませんが、以下は本年7月に国土交通省の事務次官に就任された森昌文氏が、私見と前置きしつつもJR北海道の問題について報道のインタビューで述べている発言の概要です。皆様もご存知かと思いますが、非常に重要な発言ですのであえて記載させて頂きます。

・この問題でいちばん大事なのは、公共交通が何なのかということ。公共交通というからには、どこまでいってもプライベートではなくてパブリックだが、パブリックをどこまで支えていくのか、その視点での議論が充分されているとは言い難い。
・道路に税金を使って鉄道には使わない。それはおかしい。そもそも鉄道と道路、どっちを取るのかという議論自体が違う。交通手段としても車と鉄道の二択ではなくそれぞれの役割分担がある。
・「公共交通とはなんぞや」というこの問題を国として詰めなければならないのではと考えている。
・国土交通省としての正式な見解としては、国鉄の民営化というのは正しいことで、それに逆行するような政策は今のところはできないが、個人的にはもう少し政策の柔軟性があってもいいと思う。

 これらの発言は、私の持つ問題意識と同様の点を国交省の事務方トップ自らが率直に述べており、日本の交通政策の抱える問題の核心をつく言葉と確信しております。
 鉄路を維持していくために、事業者はもとより地域住民や地方自治体、国が利用促進などに一体となり取組むことはもちろんでありますが、日高線を含めたJR北海道の事業範囲見直し問題を単に地域の交通問題と片付けてしまうのではなく、持続可能な地域の実現と国家の未来を見据えた交通戦略、成長戦略として真正面から向き合うべき問題であるとの認識に立ち、被災した日高線をなし崩し的に廃線に追い込む前に、国を挙げて徹底的に議論すべきと考えます。


2.
日高線の被災とともに海岸保全が放置され、漁業被害や背後の国道などの国土の浸食被害が続出しております。一部の海岸において護岸補強などの工事に着手していると承知しておりますが、現行法においては、JR北海道に復旧業務の責任があることは言うまでもありません。
 しかしながら、長期間に亘り国土が浸食されており、住民の生命と財産に危険が及ぶ可能性もあることから、責任のたらい回しをせずに、問1への回答と関連して国や道が早期に復旧作業に当たるための法的措置も含めた対応が必要と考えます。




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北海道議会議員 藤沢澄雄

1.
被災していない鵡川-日高門別間の運行は十分に可能ですが、一方で日高全域を考え、バスの効率的な運行ルートと合せて考えるべきです。


2.
法律の範囲で行政は動きます。急くのであれば(国が示すように)、日高線を廃止して、土地、権利を国に返し、国及び道に海岸保全をまかせるべきです。
 道の指針にも、「鉄道以外の交通機関を~場合は、~海岸保全などに十分配慮しながら……」とあります。

(お手紙より)
多くの資料を送っていただき、ありがとうございます。国は自治体とともに公共交通の維持に努める義務と責任がありますが、それが「鉄道でなければならない」とは、私は思いません。貨物はモーダルシフトと言い鉄道の見直しが主張されますが、人に関しては、鉄道、クルマ、飛行機など地域によって最善のモーダルシフトを考えるべきです。原点は、「どれだけの人が利用するのか?」そして復旧した場合、今後10年、20年先に、責任を持って必要とされる財産と言えるのかが問われるはずです。限られた税金を賢く使うことは、政治の責任です。できれば公開で議論したいです。



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以上、ありがとうございました。