皆さま、こんにちは。村井です。
昨日の臨時町長会議について、以下守る会としての声明を発表いたします。
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●町長会議は6対1で全線バス転換の方向打ち出す
●守る会は鉄路守るたたかいを引き続き進めていきます
11月12日、日高町村会の臨時町長会議が開催されました。『なぜ今、坂下町村会長は多数決をしてまで急ぎ日高線を廃止しバス転換するという方向に突き進もうとしているのか』JR日高線を守る会は坂下町村会長に公開質問状を提出して、多数決でバス転換・鉄路廃止を決めることのないよう要求してきました。
▼バス路線転換に絞るが、鉄路の廃止を容認したものではない
この日、新ひだか町公民館には多くのテレビ・新聞の取材陣が集結し多数決決定の成り行きを注目しました。午後4時から行われた報道陣の囲み取材で坂下町村会長は次のように会議の結果を報告しました。
『最終的に多数決で決めることになった。その結果バス路線に転換が6町(日高町は一部復旧から全部バスに)、鉄路存続が浦河町1町となり、6対1の多数決でバス路線転換に絞った。しかし、鉄路の廃止を容認したものではない。バス路線についてそれぞれの町がJRと3月をめどに個別協議を行う。それぞれの町が結果的に(交渉が)ダメになる可能性も含まれている。バス路線を最終的に各町が合意できるように取り組んでいく』と坂下氏が説明。
〇バス路線に転換目指してJRとの協議を各町ごとに進めて合意をつくる。
〇しかし鉄路廃止容認ではない。
この説明が記者団もわかりづらいと質問を繰り返していました。「廃止容認でない」としたのは、私たちJR日高線を守る会や、各地の全線復旧を要求するたたかいが影響を与えたものと思われます。全線復旧の主張を続ける池田町長のブレない姿勢の影響も大きかったでしょう。
▼JR=海岸復旧で廃線ありきの姿
重大な問題が明らかになりました。記者から「バス転換の協議に入ったとき、護岸の復旧はどうするのか」と質問されて、JRの綿貫常務取締役は「護岸については道と一緒に色んな調査をしている。工法や、どういう範囲でできるのか話し合って進めていきたい」と述べたことです。JRは災害復旧で国の制度を使って直ちに工事すべきだったのに一切やらず、バス転換の方向が見えたら「進めていきたい」と言うなど、その廃線ありきの無責任な姿勢が浮き彫りになりました。
▼密室協議変える気なし
また、記者から「町村会の議事録を公開しないのか」という質問に、「会議中罵声をあびている町長もいて面白おかしく書かれても困る」「議事録が公開されて、自由に発言できなくなると困る」など、民主主義とは異質な、会議の水準も地方自治の理解も疑われる説明に終わっていました。
▼バス転換協議はJRと道、国の責任を帳消しにする
日高線の維持困難路線の問題は、「地方の問題」ではなく、JR北海道の経営危機の問題であり国の政策の失敗によるものです。国の政策の失敗は、国が責任を取るべきであり、地方の路線を廃止して「解決したことにする」べきものではありません。人口減少や不採算を理由にすれば、広大な北海道で公共インフラは何も維持できないことになり、地方住民の生活は成り立たなくなります。今回のバス転換協議はJRの護岸復旧工事一切やらなかった責任も道の海岸国土保全義務の責任も帳消しにする効果があります。
▼JR日高線を守る会の存在は増々重く
温室効果ガスの排出削減対策で注目される鉄道、高齢者の運転免許証を自主返納で必要とされる鉄道、インバウンド増大に絶大な力を発揮する鉄道。今こそ鉄道の優位性を直視すべきです。何よりも鉄路を廃止した地域の衰退は確実で、そうなればバス事業者もやがては撤退縮小していきます。
JR日高線を守る会は全道全国の仲間とともに、鉄路を守り抜くたたかいに引き続き力を注ぎます。
2019年11月13日
JR日高線を守る会
JR日高線の早期復旧と存続発展のため、2015年11月に「JR日高線を守る会」を立ち上げました。2015年1月に高波被害を受けて以来不通が続いていますが、私たちは公共交通機関としてのJRを応援するため運動を進めます。
2019年11月13日水曜日
【新ひだか町】公開質問状の回答を頂きました【11/13(水)】
皆さま、こんにちは。村井です。
先日10月26日付文書で日高町村会長へお願いしておりました公開質問状への回答が、会議前日の11月11日(月)の夜18時過ぎにファックスで届きましたので、画像を公開いたします。坂下町村会長および事務局担当者の方には大変お忙しい中でのご返答、ありがとうございます。ただ、ちょっと時期が遅かったこと、また今バス転換を多数決で決定するというのであれば、私たち住民が知る必要があると思ってお尋ねした内容について、具体的な言及を頂けていないことが残念です。
(追記)
一読して、「コメントを差し控えさせていただきます」「お答えすることができません」「その具体的な内容については、今後の協議状況を踏まえ、地域の皆さまへお示ししていく予定」などなど、これまで私たちも繰り返し述べてきましたが、このように今後のことについて何ら具体的なことが示されない、情報も議論も公開できない、そうした中で、なぜ今、バス転換を多数決で決定しなければならない、ということになるのでしょうか。
情報や議論の公開は、民主主義の基本です。住民に十分な説明責任を果たすことなく町村会の中の少数意見に合理的な説明もなく、ただ時間が経ったからという理由で多数決で決めるということは、住民自治に反して許されないのではないかと私たちは考えています。明日の臨時町長会議を注視したいと思います。
(※ファックスの画像のため大変見にくくて申し訳ありません。画像を拡大してご覧頂きたいと思います。すみません!)
先日10月26日付文書で日高町村会長へお願いしておりました公開質問状への回答が、会議前日の11月11日(月)の夜18時過ぎにファックスで届きましたので、画像を公開いたします。坂下町村会長および事務局担当者の方には大変お忙しい中でのご返答、ありがとうございます。ただ、ちょっと時期が遅かったこと、また今バス転換を多数決で決定するというのであれば、私たち住民が知る必要があると思ってお尋ねした内容について、具体的な言及を頂けていないことが残念です。
(追記)
一読して、「コメントを差し控えさせていただきます」「お答えすることができません」「その具体的な内容については、今後の協議状況を踏まえ、地域の皆さまへお示ししていく予定」などなど、これまで私たちも繰り返し述べてきましたが、このように今後のことについて何ら具体的なことが示されない、情報も議論も公開できない、そうした中で、なぜ今、バス転換を多数決で決定しなければならない、ということになるのでしょうか。
情報や議論の公開は、民主主義の基本です。住民に十分な説明責任を果たすことなく町村会の中の少数意見に合理的な説明もなく、ただ時間が経ったからという理由で多数決で決めるということは、住民自治に反して許されないのではないかと私たちは考えています。明日の臨時町長会議を注視したいと思います。
(※ファックスの画像のため大変見にくくて申し訳ありません。画像を拡大してご覧頂きたいと思います。すみません!)
2019年11月7日木曜日
【新ひだか町】公開質問状の回答が未到着の件について【11/7(木)】
皆さま、こんにちは。「JR日高線を守る会」代表幹事の村井直美です。
平素より当会の活動をご支援いただきまして、誠にありがとうございます。
平素より当会の活動をご支援いただきまして、誠にありがとうございます。
さて、私たちJR日高線を守る会は、先月10月26日付の文書で坂下日高町村会会長へ公開質問状を送付し、今月11月5日(火)までにご回答を頂けるようお願いをしておりましたが、期日を過ぎても回答が届かないので、先ほど事務局へお問合せしたところ、“この間ずっと坂下町村会長は出張中で、公開質問状の件はファックス等で連絡を取り合っていて認知はしているが、11月8日(金)まで戻らないため、期日までの回答はできなかった。坂下町村会長は12日の臨時町長会議の前には回答を出したいという意向であった”、とのことでした。
お忙しい中での依頼で大変恐縮でしたが、私たちの公開質問状への対応は、公務ではないでしょうか。メールもファックスもある時代に、2週にわたる出張中は公務はできないということでしょうか。これで住民に責任を持つ行政と言えるのでしょうか。
また、仮に諸事情で期日までの回答が難しいのであれば、最低でも「遅れます/いついつまでに回答します」「回答できません」等、前もって一言私たちにご連絡頂くのが筋ではないでしょうか。なぜその旨のお電話一本も頂けなかったのでしょうか、とお尋ねしたところ、「それは考え方ですね」とのこと。「考え方」・・・。住民からの公開での質問に対して、行政の対応としてそれはあまりに不誠実ではないでしょうか。
今バス転換すべきというのであれば、私たちが質問した内容は、これまでの4年10ヶ月で当然議論され解決されているはずですから、今すぐにでもお答え頂けるはずではないでしょうか。地域公共交通という住民の生活や地域の未来を左右する重要な問題であるにもかかわらず、これまで会議も一貫して非公開であり、住民に対して将来の地域公共交通の具体的な情報も何ら明らかにされていません。そうした中で、住民に十分な説明責任を果たすことなく町村会の中の少数意見に合理的な説明もなく、ただ時間が経ったからという理由で多数決で決めるということは、住民自治に反して許されないのではないかと私たちは考えています。
回答時期ですが、事務局の方によれば、出張から戻ってきて以降の回答になると思うので、今週中には難しいかもしれない、とのこと。そうなると、週明け11日(月)、次回町長会議の前日ということになります。前日の回答というのも直前すぎると思いますが、回答を頂き次第公開したいと思います。坂下町村会長にはお忙しい中大変恐縮ですが、誠実な回答をお願いしたいと思います。
2019年11月7日
JR日高線を守る会
村井 直美
村井 直美
2019年10月29日火曜日
【新ひだか町】坂下日高町村会長へ公開質問状を送付、記者会見を行いました。【10/29(火)】
皆さま、こんにちは。代表の村井です。
日高線の存続問題について、次回の臨時町長会議で多数決で決定するという坂下町村会長の発言をうけて、私たちJR日高線を守る会は、2019年10月26日付けで坂下町村会長へ公開質問状を送付しました(様似町役場宛に送付、10月28日着)。回答期日は、11月5日(火)ということでお願いしております。この公開質問状送付について、先ほど記者会見を行いました。公開質問状の内容は、以下の通りです。回答を頂きましたら、また改めて公開したいと思います。
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2019年10月26日
日高町村会会長 坂下 一幸 様
JR日高線を守る会
代表幹事 村井 直美
公 開 質 問 状
2015年1月にJR日高本線が高波被害により運休してから4年9ヶ月が経ち、次回臨時町長会議で日高線の行方が多数決決定されると報道されています。しかし、そもそも日高線を含む今日のJR北海道の維持困難路線の問題は、「地方の問題」ではなく、JR北海道の経営危機の問題であり、32年前の国鉄分割民営化に端を発する国の政策の失敗によるものです。即ち、経営安定基金の運用益で赤字経営を補うという分割民営化時のスキームが破たんし、運用益の不足額が4600億円にものぼり経営を圧迫したことが、今日の問題の本質です。
国の政策の失敗は、国が責任を取るべきであり、こうした歴史的経緯を考えても、地方の路線を廃止して「解決したことにする」べきものではありません。またJR北海道が廃止を提案しようとも、住民や地域はあきらめるわけにはいきません。人口減少や不採算を理由にすれば、広大な北海道で公共インフラは何も維持できないことになり、地方住民の生活は成り立たなくなります。
私たちJR日高線を守る会は、この基本スタンスの下にJR日高線の一日も早い復旧を願い、国と北海道とJR北海道の地域公共交通を守る意志と良識を期待しつつ、自治体の首長のみなさん、地域のみなさんと力を合わせながら、講演会、学習会、懇談会、駅清掃などのあらゆる機会を通して、啓発と運動を進めてきました。
しかし、ここへ来て、日高町村会はバス転換を多数決で決すると言います。住民の生活や地域の未来を左右する重要な問題であるにもかかわらず、これまで会議も一貫して非公開であり、住民に対してバス転換の内容も何ら具体的に明らかにされていない中、私たちJR日高線を守る会は、なぜ今鉄路の復旧を諦めて急ぎバス転換を決定する必要があるのか、という疑問を禁じ得ません。つきましては、以下の通り質問いたしますので、ご回答の程宜しくお願いいたします。
記
一.坂下町村会長は、「1町2億円」の地元負担をすると「町がつぶれる」という趣旨の発言をされて、このことを日高線をあきらめる理由の一つとされていますが、他の維持困難路線の沿線自治体は、日高線のように億単位の地元負担を求められてはいません。にもかかわらず、それら維持困難路線の当面の存続は決定しており、このような多額の負担を求められた日高線だけが差別的取り扱いを受けていると言えます。この差別的取扱いへの抗議も言及もなしに、なぜ坂下町村会長は「1町2億円」を根拠に廃止やむなしとお考えなのでしょうか。なぜ億単位の負担を求められない他路線が存続し、日高線だけが「1町2億円」を理由に鉄路をあきらめなければならないのでしょうか。理由をお聞かせ下さい。
二.坂下町村会長は、「長くなればなるほど、困っている人に誰も手をさしのべず、待っていていいのかと切羽詰まっている状態」と発言されて、このことを理由の一つとして早期にバス転換すべきとされていますが、これは当事者たる「困っている人」に直接お話をお聞きになってのご意見でしょうか。私たち「JR日高線を守る会」は、当事者たる「困っている人」から、「当面は今の代行バスの利便性を高めながら、長期的には日高線を復旧してほしい」「やはり所要時間も短く、車内も広くて揺れも少ない快適な列車が必要。」という声を聞いております。車椅子の方や、リウマチで通院される方、高齢で免許を返納される方々にとって、速達性・快適性にすぐれた鉄道の利便性は、バスで代替することができないものです。地域にも様々な意見があることは承知していますが、鉄道の存続に死活的な利益を有する交通弱者の方々の声を、町村会長として今一度聞いて頂くことはできないでしょうか。
また、上記のご発言は、バス転換すればより便利で快適になるという前提でのお話かと存じますが、上記交通弱者の方々にとって、現行の代行バスより代替バスの方がより便利で快適になるという根拠を、具体的にお聞かせ下さい。
三.10月24日(水)北海道新聞3面掲載記事「旧JR代替バス存続危機 天北宗谷岬線」に報道されたように、鉄路が廃止になりバス転換された地域は、乗客減少や減便、基金や補助金の減少など、どこも同様の問題に喘いでいます。また、ここ日高でも、道南バスのペガサス号が減便になったり、空港行きのバスの経路が変更になって苫小牧への通院が著しく困難になるなど、すでに同様の問題が起きている現実があります。こうした中で、なぜ今、坂下町村会長は多数決をしてまで急ぎ日高線を廃止しバス転換するという困難に自ら突き進もうとしているのでしょうか。理由をお聞かせください。また、バス転換後の各地の疲弊についてもご意見をお聞かせ下さい。
四.前回の臨時町長会議終了後の記者会見にて、坂下町村会長は、多数決に参加しない自治体については「離脱もあり得る」と発言されましたが、「離脱」とは具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。また、10月18日の道新日高版記事「浦河町長が退席示唆」にあるように、「次回、浦河町が採決を退席するなら、それ以降の協議から離脱してもらう」との趣旨の発言があったと報道されていますが、これは事実でしょうか。事実とすれば、どのような意図からのご発言でしょうか。
五.上記三と四に述べた事柄(多数決の決定の検討と、「離脱」に関する発言)を確認するために、7月22日と9月24日に行われた臨時町長会議の議事録を開示して下さい。議事録が存在しなければ、会議録や発言録やメモ、録音データなど、各々の発言の主旨が分かるものであれば何でも構いません。可能であれば、上記2日程以外の全ての日高線に関する会議の議事録(なければ発言録や録音データその他何でも)の開示をお願いしたいと思います。
六.日高線の今後に関してこれまで多数回にわたって行われた町村会会議は、今後の住民の生活や地域の未来を左右する重要な議論の場であったため、私たち守る会をはじめ議長会や報道機関などからも公開の要請がなされてきましたが、住民や報道機関による傍聴も取材も許可されず、全て非公開で行われてきました。会議後に短時間のぶら下がり会見は行われましたが、私たちが必要な内容を理解するには不十分なものであり、これをもって行政の説明責任が果たされたとは言えないのではないかと思います。これらの会議は、なぜ一貫して非公開だったのでしょうか。理由をお聞かせ下さい。
七.坂下町村会長は、多数決でバス転換を決定されようとしておりますが、今後以下の問題についてどのように対応するご予定でしょうか。8月27日に私たち守る会が申入れにうかがった際には、(バス転換について)「まだ何も決まっていない」と仰っていましたが、以下の内容は、少なくとも多数決決定がなされる場合にはそれに先立って事前に住民に明らかにされてしかるべきものだと思いますので、それぞれの項目について具体的にお聞かせください。
① 大型バス運転手(大型二種免許保有者)の不足
② 18年後または基金が底をついた後どうするのか
③ 現便数の確保
④ 経路変更される箇所およびその周辺住民の同意
⑤ 運賃、定期代の上昇
⑥ 各町負担の増加
八.大狩部の被災箇所について、JR北海道は護岸責任を放棄し、北海道は「(海岸法施行規則により)鉄道海岸だから護岸ができない。廃線にして公共海岸になれば道が護岸可能」という趣旨の発言をして、事実上日高線の廃止を地元に迫っている状況ですが、なぜ日高町村会はこれに抗議や申し立てをせずに、急ぎ多数決で廃止を決定しようとされているのでしょうか。そもそも海岸法は、国鉄時代の昭和31年に施行された法律であり、国鉄分割民営化までは護岸は国の予算で行われており、「お金がないので直せない」という事態は想定されておりません。即ち、今回のような状況は法の想定外であり、これは法の不備であります。こうした法の不備は、本来であれば政治行政が力を合わせて補うべきものであるところ(※実際、2015年に、道・JR北海道・国の三者間で10億円ずつ負担するという合意がまとまりかけたことがあった)、北海道は当該法(施行規則)を楯にして本来行うべき護岸を行わずに放置することによって、漁業者の被害を長期間継続せしめ、あろうことか結果として地元に廃線を迫ることになっています。このように、機械的・形式的に法を当てはめて本来行うべき護岸を怠り、漁業者の被害を放置し地元に廃線を迫るような振る舞いは、法の悪用というべきものであり、「この法律は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護することとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図り、もって国土の保全に資することを目的とする」という本来の海岸法の趣旨にも悖るものです。国土保全は本来国や道の責任であり、本来道の行うべきは、速やかに護岸を行うことによって、漁業者の不利益を速やかに除去するとともに日高線の復旧に尽力することではないかと考えますが、町村会は道に対してこの事実を指摘し抗議したことはあったのでしょうか。もしなかったのであれば、今後速やかに抗議すべきではないでしょうか。ご意見をお聞かせ下さい。
九.日本を訪れるインバウンドは増加を続け、来年開催予定の東京オリンピックを契機として道内にも多くの外国人観光客が訪れることが予想されます。京都や東京などへのインバウンドの一極集中とその地方分散が課題となる中、地方は人口減少時代の交流人口増加へ向けて、地域の観光力を磨き上げることが求められています。日高には、襟裳岬、アポイ岳ジオパーク、アイヌ文化、二十間道路、牧場風景、美味しい海産物等々、インバウンドを呼び込む魅力あふれるコンテンツがあふれており、千歳空港に近いロケーションを利用してインバウンドを引き込むために、日高線は必要不可欠なピースだと私たちは考えています。鉄道は、特に外国人観光客にとって信頼性の高い公共交通機関であり、路線バスは忌避される傾向にある、とも現役のツアーコンダクターの方にうかがったことがあります。また、日高線の車窓から見えるオーシャンビューや牧場風景は全国屈指の風光明媚さであり、日高線それ自体が観光資源であり地域の宝であると言えます。このような状況で日高線を廃止するとすれば、今後どのように日高の観光振興をはかっていくおつもりでしょうか。具体的にお聞かせ願えれば幸いです。
なお、ご回答はメールまたはFAX、文書で送付くださいますようお願い申し上げます。郵送でご返信頂ける場合は、同封の返信用封筒をご利用のうえ、11月5日(火)までに着くようにご投函をお願いいたします。
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公開質問状の内容は、上記の通りです。
今日の記者会見には、地元を中心に20名ほどの参加をいただき、札幌からも「北の鉄路存続を求める会」の小室さん、苫小牧からは「JR問題を考える苫小牧の会」の伊藤さんから日高線存続への激励メッセージをいただきました。その他、会場からも様々な声をいただきました。本日お忙しい中ご参加いただきました皆さまには、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
日高線の存続問題について、次回の臨時町長会議で多数決で決定するという坂下町村会長の発言をうけて、私たちJR日高線を守る会は、2019年10月26日付けで坂下町村会長へ公開質問状を送付しました(様似町役場宛に送付、10月28日着)。回答期日は、11月5日(火)ということでお願いしております。この公開質問状送付について、先ほど記者会見を行いました。公開質問状の内容は、以下の通りです。回答を頂きましたら、また改めて公開したいと思います。
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2019年10月26日
日高町村会会長 坂下 一幸 様
JR日高線を守る会
代表幹事 村井 直美
公 開 質 問 状
2015年1月にJR日高本線が高波被害により運休してから4年9ヶ月が経ち、次回臨時町長会議で日高線の行方が多数決決定されると報道されています。しかし、そもそも日高線を含む今日のJR北海道の維持困難路線の問題は、「地方の問題」ではなく、JR北海道の経営危機の問題であり、32年前の国鉄分割民営化に端を発する国の政策の失敗によるものです。即ち、経営安定基金の運用益で赤字経営を補うという分割民営化時のスキームが破たんし、運用益の不足額が4600億円にものぼり経営を圧迫したことが、今日の問題の本質です。
国の政策の失敗は、国が責任を取るべきであり、こうした歴史的経緯を考えても、地方の路線を廃止して「解決したことにする」べきものではありません。またJR北海道が廃止を提案しようとも、住民や地域はあきらめるわけにはいきません。人口減少や不採算を理由にすれば、広大な北海道で公共インフラは何も維持できないことになり、地方住民の生活は成り立たなくなります。
私たちJR日高線を守る会は、この基本スタンスの下にJR日高線の一日も早い復旧を願い、国と北海道とJR北海道の地域公共交通を守る意志と良識を期待しつつ、自治体の首長のみなさん、地域のみなさんと力を合わせながら、講演会、学習会、懇談会、駅清掃などのあらゆる機会を通して、啓発と運動を進めてきました。
しかし、ここへ来て、日高町村会はバス転換を多数決で決すると言います。住民の生活や地域の未来を左右する重要な問題であるにもかかわらず、これまで会議も一貫して非公開であり、住民に対してバス転換の内容も何ら具体的に明らかにされていない中、私たちJR日高線を守る会は、なぜ今鉄路の復旧を諦めて急ぎバス転換を決定する必要があるのか、という疑問を禁じ得ません。つきましては、以下の通り質問いたしますので、ご回答の程宜しくお願いいたします。
記
一.坂下町村会長は、「1町2億円」の地元負担をすると「町がつぶれる」という趣旨の発言をされて、このことを日高線をあきらめる理由の一つとされていますが、他の維持困難路線の沿線自治体は、日高線のように億単位の地元負担を求められてはいません。にもかかわらず、それら維持困難路線の当面の存続は決定しており、このような多額の負担を求められた日高線だけが差別的取り扱いを受けていると言えます。この差別的取扱いへの抗議も言及もなしに、なぜ坂下町村会長は「1町2億円」を根拠に廃止やむなしとお考えなのでしょうか。なぜ億単位の負担を求められない他路線が存続し、日高線だけが「1町2億円」を理由に鉄路をあきらめなければならないのでしょうか。理由をお聞かせ下さい。
二.坂下町村会長は、「長くなればなるほど、困っている人に誰も手をさしのべず、待っていていいのかと切羽詰まっている状態」と発言されて、このことを理由の一つとして早期にバス転換すべきとされていますが、これは当事者たる「困っている人」に直接お話をお聞きになってのご意見でしょうか。私たち「JR日高線を守る会」は、当事者たる「困っている人」から、「当面は今の代行バスの利便性を高めながら、長期的には日高線を復旧してほしい」「やはり所要時間も短く、車内も広くて揺れも少ない快適な列車が必要。」という声を聞いております。車椅子の方や、リウマチで通院される方、高齢で免許を返納される方々にとって、速達性・快適性にすぐれた鉄道の利便性は、バスで代替することができないものです。地域にも様々な意見があることは承知していますが、鉄道の存続に死活的な利益を有する交通弱者の方々の声を、町村会長として今一度聞いて頂くことはできないでしょうか。
また、上記のご発言は、バス転換すればより便利で快適になるという前提でのお話かと存じますが、上記交通弱者の方々にとって、現行の代行バスより代替バスの方がより便利で快適になるという根拠を、具体的にお聞かせ下さい。
三.10月24日(水)北海道新聞3面掲載記事「旧JR代替バス存続危機 天北宗谷岬線」に報道されたように、鉄路が廃止になりバス転換された地域は、乗客減少や減便、基金や補助金の減少など、どこも同様の問題に喘いでいます。また、ここ日高でも、道南バスのペガサス号が減便になったり、空港行きのバスの経路が変更になって苫小牧への通院が著しく困難になるなど、すでに同様の問題が起きている現実があります。こうした中で、なぜ今、坂下町村会長は多数決をしてまで急ぎ日高線を廃止しバス転換するという困難に自ら突き進もうとしているのでしょうか。理由をお聞かせください。また、バス転換後の各地の疲弊についてもご意見をお聞かせ下さい。
四.前回の臨時町長会議終了後の記者会見にて、坂下町村会長は、多数決に参加しない自治体については「離脱もあり得る」と発言されましたが、「離脱」とは具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。また、10月18日の道新日高版記事「浦河町長が退席示唆」にあるように、「次回、浦河町が採決を退席するなら、それ以降の協議から離脱してもらう」との趣旨の発言があったと報道されていますが、これは事実でしょうか。事実とすれば、どのような意図からのご発言でしょうか。
五.上記三と四に述べた事柄(多数決の決定の検討と、「離脱」に関する発言)を確認するために、7月22日と9月24日に行われた臨時町長会議の議事録を開示して下さい。議事録が存在しなければ、会議録や発言録やメモ、録音データなど、各々の発言の主旨が分かるものであれば何でも構いません。可能であれば、上記2日程以外の全ての日高線に関する会議の議事録(なければ発言録や録音データその他何でも)の開示をお願いしたいと思います。
六.日高線の今後に関してこれまで多数回にわたって行われた町村会会議は、今後の住民の生活や地域の未来を左右する重要な議論の場であったため、私たち守る会をはじめ議長会や報道機関などからも公開の要請がなされてきましたが、住民や報道機関による傍聴も取材も許可されず、全て非公開で行われてきました。会議後に短時間のぶら下がり会見は行われましたが、私たちが必要な内容を理解するには不十分なものであり、これをもって行政の説明責任が果たされたとは言えないのではないかと思います。これらの会議は、なぜ一貫して非公開だったのでしょうか。理由をお聞かせ下さい。
七.坂下町村会長は、多数決でバス転換を決定されようとしておりますが、今後以下の問題についてどのように対応するご予定でしょうか。8月27日に私たち守る会が申入れにうかがった際には、(バス転換について)「まだ何も決まっていない」と仰っていましたが、以下の内容は、少なくとも多数決決定がなされる場合にはそれに先立って事前に住民に明らかにされてしかるべきものだと思いますので、それぞれの項目について具体的にお聞かせください。
① 大型バス運転手(大型二種免許保有者)の不足
② 18年後または基金が底をついた後どうするのか
③ 現便数の確保
④ 経路変更される箇所およびその周辺住民の同意
⑤ 運賃、定期代の上昇
⑥ 各町負担の増加
八.大狩部の被災箇所について、JR北海道は護岸責任を放棄し、北海道は「(海岸法施行規則により)鉄道海岸だから護岸ができない。廃線にして公共海岸になれば道が護岸可能」という趣旨の発言をして、事実上日高線の廃止を地元に迫っている状況ですが、なぜ日高町村会はこれに抗議や申し立てをせずに、急ぎ多数決で廃止を決定しようとされているのでしょうか。そもそも海岸法は、国鉄時代の昭和31年に施行された法律であり、国鉄分割民営化までは護岸は国の予算で行われており、「お金がないので直せない」という事態は想定されておりません。即ち、今回のような状況は法の想定外であり、これは法の不備であります。こうした法の不備は、本来であれば政治行政が力を合わせて補うべきものであるところ(※実際、2015年に、道・JR北海道・国の三者間で10億円ずつ負担するという合意がまとまりかけたことがあった)、北海道は当該法(施行規則)を楯にして本来行うべき護岸を行わずに放置することによって、漁業者の被害を長期間継続せしめ、あろうことか結果として地元に廃線を迫ることになっています。このように、機械的・形式的に法を当てはめて本来行うべき護岸を怠り、漁業者の被害を放置し地元に廃線を迫るような振る舞いは、法の悪用というべきものであり、「この法律は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護することとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図り、もって国土の保全に資することを目的とする」という本来の海岸法の趣旨にも悖るものです。国土保全は本来国や道の責任であり、本来道の行うべきは、速やかに護岸を行うことによって、漁業者の不利益を速やかに除去するとともに日高線の復旧に尽力することではないかと考えますが、町村会は道に対してこの事実を指摘し抗議したことはあったのでしょうか。もしなかったのであれば、今後速やかに抗議すべきではないでしょうか。ご意見をお聞かせ下さい。
九.日本を訪れるインバウンドは増加を続け、来年開催予定の東京オリンピックを契機として道内にも多くの外国人観光客が訪れることが予想されます。京都や東京などへのインバウンドの一極集中とその地方分散が課題となる中、地方は人口減少時代の交流人口増加へ向けて、地域の観光力を磨き上げることが求められています。日高には、襟裳岬、アポイ岳ジオパーク、アイヌ文化、二十間道路、牧場風景、美味しい海産物等々、インバウンドを呼び込む魅力あふれるコンテンツがあふれており、千歳空港に近いロケーションを利用してインバウンドを引き込むために、日高線は必要不可欠なピースだと私たちは考えています。鉄道は、特に外国人観光客にとって信頼性の高い公共交通機関であり、路線バスは忌避される傾向にある、とも現役のツアーコンダクターの方にうかがったことがあります。また、日高線の車窓から見えるオーシャンビューや牧場風景は全国屈指の風光明媚さであり、日高線それ自体が観光資源であり地域の宝であると言えます。このような状況で日高線を廃止するとすれば、今後どのように日高の観光振興をはかっていくおつもりでしょうか。具体的にお聞かせ願えれば幸いです。
なお、ご回答はメールまたはFAX、文書で送付くださいますようお願い申し上げます。郵送でご返信頂ける場合は、同封の返信用封筒をご利用のうえ、11月5日(火)までに着くようにご投函をお願いいたします。
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公開質問状の内容は、上記の通りです。
今日の記者会見には、地元を中心に20名ほどの参加をいただき、札幌からも「北の鉄路存続を求める会」の小室さん、苫小牧からは「JR問題を考える苫小牧の会」の伊藤さんから日高線存続への激励メッセージをいただきました。その他、会場からも様々な声をいただきました。本日お忙しい中ご参加いただきました皆さまには、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
2019年9月4日水曜日
【様似町】日高町村会へ申入れいたしました!【8/27(火)】
皆さま、こんにちは。村井です。
先日8月27日、私たちJR日高線を守る会は、日高町村会長である坂下様似町長へJR日高線の全線復旧を求める申入れをいたしました。次回の町長会議で3案のうちから1案に絞る、との報道ですが、運賃やルート、本数などバス転換案の具体的な内容が何ら住民に明らかにされない中、今なぜ1案に絞らなければならないのか、住民へ情報公開をしてほしい等々を求めました。坂下町村会長には、お忙しい中お時間をいただきまして、誠にありがとうございました。
坂下町村会長は、「まだ何も決まっていないのです」と再三強調されていました。それならば尚更、今の段階で1案に絞るということはできないのではないか、と思いました。先日浦河で町民懇談会が開かれましたが、全線復旧を求めて浦河町長が主張されていたことに私たちも全面的に同意いたします。日高線は、日高にとっての宝です。なくしてはいけません。以下に申入書の内容を貼り付けましたのでご参照ください。
****************
(以下、申入書の内容です)
2019年 8月27日
日高町村会会長
坂下 一幸 様
JR日高線を守る会
代表幹事 村井 直美
申 入 書
2015年1月にJR日高本線が高波被害により運行休止して以来、様々な話し合いが持たれたにもかかわらず、根本的な解決には至らず災害復旧も為されないまま、4年半以上の月日が流れました。そうした中で、7月22日に行われた前回の日高町村会の臨時町長会議で、坂下町村会長が「9月24日の次回町長会議で1案に絞る方針を確認」した、と報道されています(7月23日日高報知新聞より)。同記事によれば、「各町議会の調整がすべて終わった段階で、どこかで結論を出さなくてはならない。9月24日には間に合わない町があれば1本に絞ることは延ばす可能性もある」とのことですが、私たちJR日高線を守る会は、バス転換の内容が住民に対して何ら具体的に明らかになっていないにもかかわらず、なぜ今鉄路の復旧を諦めて急ぎバス転換を決定する必要があるのか、という疑問を禁じ得ません。つきましては、以下の通り申入れいたします。
記
一.バス転換の予算をJR北海道がすべて負担するかどうか不明であるのみならず、定期券を含む運賃体系も各案の実現可能性も明らかでない中、地域の未来を左右する重要な地域公共交通の可能性を狭める決断を、現時点ですべきではありません。現時点での1案への絞り込みはやめて、引き続き日高線の全線復旧を粘り強く求めながらJR北海道との協議を進めて下さい。また、JR北海道に対しては、鵡川から日高門別までの早期運行再開を求めて下さい。
二.今日のJR日高本線の廃止問題は、JR北海道の経営難に端を発するものであり、その大元の原因は経営安定基金の運用益不足にありますが、JR北海道は平成30年度決算で863億円の含み益を計上しています。国鉄の分割民営に起因する国の責任を明確に問うていくと同時に、JR北海道の経営状態にも留意しながら協議を進めて下さい。
三.長大路線として日高線が持つ「地域間を結ぶ」役割は、輸送密度が低い区間を抱えていても基本的に変わりありませんが、高まる存廃論議の中にあって日高線が「時代の役割を終えた」と言われないようにするためには、時代の変化に応じた新たな役割を日高線に付与することが重要です。大型自動車の運転手不足が深刻化する中で、貨物輸送など既存の鉄道路線に新たな役割を与える動きも各地で始まっています。安易な廃止ありきの議論ではなく、観光輸送、貨物輸送など日高線に新たな役割を付与し、活用する方向性を示すような建設的な議論を求めます。
四.日高線運休以降、リウマチで苫小牧へ通院する方や、入院する家族のお見舞いへ行く高齢者の方々、また障がい者の方々の移動が著しく困難になるという事態が沿線で発生しています。こうした方々にとって移動の快適性は死活問題であり、また車椅子に乗ったまま長距離を短時間で移動できるという鉄道の利便性は、バスで代替することはできません。先の参院選で重度障がい者の方が当選したことを契機として、国会内の改修工事が行われるなど、障がい者の方々が活動しやすくなる方向で、社会のあり方を見直す動きが始まっています。今、日高線沿線自治体の任務は、そうした障がい者および交通弱者の方々に優しい交通手段を再評価し整備拡充することであり、この面からも鉄道を総合交通体系の中にきちんと位置づけ、再評価していくような議論を求めます。また、日高線復旧までの当面の措置として、代行バスの低床バス化などをJR北海道にきちんと求めて下さい。
五.護岸整備について、2003年2月に北海道は「日高胆振沿岸保全計画」を策定し、被災した大狩部地区は、「海岸保全をしようとする地域」に指定されています。また実際に、北海道は、JR海岸である静内駒場の太平洋側の沖合に消波ブロックを設置する工事を行うことを決定しています。「JR海岸だから護岸整備できない」のではなく、「できるのにやらない」のではないでしょうか。漁業被害を一刻も早く解消するためにも、当該保全計画に基づいて、日高町村会は、北海道に対して一日も早い被災箇所の護岸整備を強く求めて下さい。
六.町長会議や担当課長会議の内容を、報道機関や地域住民に公開して下さい。住民および利用者には知る権利があり、行政には説明責任があります。私たち住民は、地域の未来を左右する地域公共交通の検討・決定について、行政担当者に白紙委任している訳ではありません。
以上
先日8月27日、私たちJR日高線を守る会は、日高町村会長である坂下様似町長へJR日高線の全線復旧を求める申入れをいたしました。次回の町長会議で3案のうちから1案に絞る、との報道ですが、運賃やルート、本数などバス転換案の具体的な内容が何ら住民に明らかにされない中、今なぜ1案に絞らなければならないのか、住民へ情報公開をしてほしい等々を求めました。坂下町村会長には、お忙しい中お時間をいただきまして、誠にありがとうございました。
坂下町村会長は、「まだ何も決まっていないのです」と再三強調されていました。それならば尚更、今の段階で1案に絞るということはできないのではないか、と思いました。先日浦河で町民懇談会が開かれましたが、全線復旧を求めて浦河町長が主張されていたことに私たちも全面的に同意いたします。日高線は、日高にとっての宝です。なくしてはいけません。以下に申入書の内容を貼り付けましたのでご参照ください。
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(以下、申入書の内容です)
2019年 8月27日
日高町村会会長
坂下 一幸 様
JR日高線を守る会
代表幹事 村井 直美
申 入 書
2015年1月にJR日高本線が高波被害により運行休止して以来、様々な話し合いが持たれたにもかかわらず、根本的な解決には至らず災害復旧も為されないまま、4年半以上の月日が流れました。そうした中で、7月22日に行われた前回の日高町村会の臨時町長会議で、坂下町村会長が「9月24日の次回町長会議で1案に絞る方針を確認」した、と報道されています(7月23日日高報知新聞より)。同記事によれば、「各町議会の調整がすべて終わった段階で、どこかで結論を出さなくてはならない。9月24日には間に合わない町があれば1本に絞ることは延ばす可能性もある」とのことですが、私たちJR日高線を守る会は、バス転換の内容が住民に対して何ら具体的に明らかになっていないにもかかわらず、なぜ今鉄路の復旧を諦めて急ぎバス転換を決定する必要があるのか、という疑問を禁じ得ません。つきましては、以下の通り申入れいたします。
記
一.バス転換の予算をJR北海道がすべて負担するかどうか不明であるのみならず、定期券を含む運賃体系も各案の実現可能性も明らかでない中、地域の未来を左右する重要な地域公共交通の可能性を狭める決断を、現時点ですべきではありません。現時点での1案への絞り込みはやめて、引き続き日高線の全線復旧を粘り強く求めながらJR北海道との協議を進めて下さい。また、JR北海道に対しては、鵡川から日高門別までの早期運行再開を求めて下さい。
二.今日のJR日高本線の廃止問題は、JR北海道の経営難に端を発するものであり、その大元の原因は経営安定基金の運用益不足にありますが、JR北海道は平成30年度決算で863億円の含み益を計上しています。国鉄の分割民営に起因する国の責任を明確に問うていくと同時に、JR北海道の経営状態にも留意しながら協議を進めて下さい。
三.長大路線として日高線が持つ「地域間を結ぶ」役割は、輸送密度が低い区間を抱えていても基本的に変わりありませんが、高まる存廃論議の中にあって日高線が「時代の役割を終えた」と言われないようにするためには、時代の変化に応じた新たな役割を日高線に付与することが重要です。大型自動車の運転手不足が深刻化する中で、貨物輸送など既存の鉄道路線に新たな役割を与える動きも各地で始まっています。安易な廃止ありきの議論ではなく、観光輸送、貨物輸送など日高線に新たな役割を付与し、活用する方向性を示すような建設的な議論を求めます。
四.日高線運休以降、リウマチで苫小牧へ通院する方や、入院する家族のお見舞いへ行く高齢者の方々、また障がい者の方々の移動が著しく困難になるという事態が沿線で発生しています。こうした方々にとって移動の快適性は死活問題であり、また車椅子に乗ったまま長距離を短時間で移動できるという鉄道の利便性は、バスで代替することはできません。先の参院選で重度障がい者の方が当選したことを契機として、国会内の改修工事が行われるなど、障がい者の方々が活動しやすくなる方向で、社会のあり方を見直す動きが始まっています。今、日高線沿線自治体の任務は、そうした障がい者および交通弱者の方々に優しい交通手段を再評価し整備拡充することであり、この面からも鉄道を総合交通体系の中にきちんと位置づけ、再評価していくような議論を求めます。また、日高線復旧までの当面の措置として、代行バスの低床バス化などをJR北海道にきちんと求めて下さい。
五.護岸整備について、2003年2月に北海道は「日高胆振沿岸保全計画」を策定し、被災した大狩部地区は、「海岸保全をしようとする地域」に指定されています。また実際に、北海道は、JR海岸である静内駒場の太平洋側の沖合に消波ブロックを設置する工事を行うことを決定しています。「JR海岸だから護岸整備できない」のではなく、「できるのにやらない」のではないでしょうか。漁業被害を一刻も早く解消するためにも、当該保全計画に基づいて、日高町村会は、北海道に対して一日も早い被災箇所の護岸整備を強く求めて下さい。
六.町長会議や担当課長会議の内容を、報道機関や地域住民に公開して下さい。住民および利用者には知る権利があり、行政には説明責任があります。私たち住民は、地域の未来を左右する地域公共交通の検討・決定について、行政担当者に白紙委任している訳ではありません。
以上
2019年3月5日火曜日
2019年2月25日月曜日
2月20日(水)浦河市民集会「今だから、ちゃんと話そう。日高線」ご報告
皆さま、こんにちは。村井です。
日に日に寒さも和らいでまいりましたが、先週は胆振東部地震の大きな余震もあり、私も含めて怖い思いをした方も多いかと思いますが、皆さま無事でお過ごしでしょうか。
さて、私どもJR日高線を守る会は、先日2月20日に浦河にて市民集会を開催いたしました。日高管内外より30名ほどが集まり、大変有意義な議論が交わされました。全てではありませんが、主要な発言を文字起こししたものを以下に収録いたしますので、ご一読頂けると幸いです。なお、この全文は、日高町村会の各町長様にも郵送しています。
私たちの視線はとかく足元に向きがちですが、ひとたび視線を北海道の外へ転じてみますと、福島県では只見線の復旧工事が8年ぶりに開始されようとしています。また、三陸鉄道はJR山田線を譲り受けて被災部分を間もなく復旧します。九州では熊本震災で不通になった南阿蘇鉄道などの復旧に向かっています。日高線の位置付けはこれらの復旧工事下の本州以南の鉄道と比べても決して低いわけではありません。鉄道の持つ地域維持の大きな効果をご理解いただいたうえで、いま一度この素晴らしい日高本線の価値と意義をご確認いただき、そして復旧存続についての議論を喚起したいと思います。
* * * * * * * * * *
2019年2月20日(水) 於 浦河町総合文化会館2階 第三研修室
「今だから、ちゃんと話そう。日高線」 主催:JR日高線を守る会
参加人数:約30名(報道含めて40名弱) 18:00~20:00
発言録(順不同)
■様似町・男性80代
「国は、北海道をどうするつもりか」
様似駅は始発駅でもあり終着駅でもある。日高線が様似まで全線開通したのは昭和12年。私は昭和11年生まれなので日高線は一つ年下の弟です。昔の日高線は、貨車の入れ替えをやっていて、静内や富川では20~30分もかかった。札幌まで行くのも一日仕事だった。一番列車に乗って室蘭発の準急に苫小牧で乗り換えたら1時過ぎに札幌に着いて、3時の札幌発の列車に乗れば苫小牧発の最終列車に間に合う。日帰りできると当時話題になった。
様似から札幌まで4時間で行けるようになり、それが一日3往復あった。なぜかは分からないが、それを無くしてしまった。JRは、わざと乗りにくくして乗りにくくして、「(乗客が)乗らない、乗らない」と言っている。それもいかがなものか。
日高線は、木材や馬の運搬も担っていた。貨車に、馬が乗れるような柵を作って、牧草も積んで、馬を管理する人も一緒に乗っていた。大きな駅へ行って貨車の入れ替えになると、どっかの構内の端っこにボーンと置かれてしまって、いつ運ばれるか分からない、そういう歴史があって大変だった。
ここへ来て、日高線をなくすという。JRは採算が合うか合わないかしか考えていない。私も仕事で全道各地を歩くが、広尾線がなくなり、池北線がなくなり、あらゆるところがどんどん廃線になっている。日高線もなくなったら、この襟裳岬を中心にした胆振から十勝にかけての三角地帯から鉄道が全くなくなるということになる。その中から思い浮かぶのは、「国は一体北海道をどうするつもりか」ということ。赤字の問題というのは日高線だけの問題ではありませんから、全道的に赤字である。そういう中で、「赤字だから鉄道をやめる」ということになったら、一体北海道そのものを国はどうするつもりでいるのか、これは国の責任を明確に問わなければならない。そういう論点が、町村会の議論を聞いていても何を聞いていても、一向に出てこない。これが非常に問題である。我々の運動も、国に問いかける、国に「北海道を見捨てていいのか」と、そこのところを見捨てるつもりの代議士は、北海道から一人も当選させないぞ、とそのくらいの迫力でやらないと突破できないですよ。
ちなみに、私は様似の坂下町長に、「日高線をなくするべきではない」と何回か言ったことがある。坂下町長は、建前では残したいと言っているが、腹の底では最初からバス転換。今お鉢が回ってきて町村会長をやっているが、しっかりしてもらわないと。そういう面では、池田町長に私は多大な敬意を表したいと思っている。
やっぱり鉄道とはそういう問題だと思う。もっとみんな広くアピールするようなことをお互いに意識して、そういう啓蒙を積極的にやるべきだと思う。
■苫小牧・男性70代
「最初の赴任地、浦河の思い出」
高校を卒業して浦河の電電公社に独身で赴任した。当時浦河駅を降りたら、ザバー、ザバーと50mもないところに波が打ち寄せていた。約50年前は、築地という場所はなかった。
様似、アポイ岳、馬、海産物などなど独特の景観で日高路は本当に素晴らしい。また、息子が浦河に住んでいる関係で苫小牧からよく浦河に来るのに利用する。この素晴らしい日高線を本当になくしてはいけない。
■浦河・女性70代
「日高線の思い出」
日高線に乗って、昭和37年に夫の実家のある浦河に、当時20万都市だった小樽からお嫁に来た。駅に着いたとき、暗い中に波が打ち寄せる音がした。そこから降りて、家のある東町までJRバスで行った。当時は国道も舗装されておらず泥んこで、「本当に私はここに住むんだろうか」と思ったが、朝起きて見たら周りにもたくさん家があって、安心した思い出がある。
当時、浦河には国の出先機関がたくさんあった。裁判所、測候所、法務局などなど、支庁(※今も振興局となってある)や銀行もあった。転勤するときは、地位もある人もない人もみんな駅に着くし、転勤するときは駅から出発した。みんな駅に出て見送り、出迎えした。
東町駅は、浦河高校や日赤に通う人のために後からできた新しい駅。人の暮らしに沿ったもの。また、日高線は、木材、馬、魚を運んだりする大事なもの。浦河の歴史と線路はくっついている。線路は、命をつなぐ大事なもの。無くさないで残すべき。
■苫小牧・男性70代
「日高線の思い出」
現在苫小牧に住んでいるが、生まれは浦河。今、日高振興局のある栄丘(さかえおか)に住んでいた。当時そこから浦河小学校に通っていた。強風の中、山道(さんどう)を泣きながら通った。思い出深いのは、学校の先生が転勤するときに、駅まで見送りに行ったこと。人数が多い時には、線路に沿ってずらーっと並んで手を振った。
苫小牧で日高線復旧存続の署名を集めていた時、「今は様似まで列車では行けないんですね。列車を通してほしい」という方がたくさんいた。興味関心のある人がたくさんいるのだと感慨深かった。
■三石・女性60代
「バスでの移動は本当に大変。公共交通として平等に」
先日とある男性から、「代行バスに乗ったが、三石から苫小牧まで4時間くらいもかかって大変だった」と聞いた。これから列車をなくしてバスの生活はいやだ、と署名してくれた。
また、ある女性からは、「姉が苫小牧にいるが、列車が今ないのでお見舞いに行けない。もしかすると会えないかもしれないが、バスでなんかはとっても行けない。列車がなくて困っている」と聞いた。
一人、日高線の復旧等のために税金の負担が増えたら困るからと言って、署名してくれなかった人もいた。
自分自身も去年の秋に苫小牧から三石まで初めて代行バスに乗ったが、3時間半くらいもかかって本当に疲れた。トイレもないので、水も飲まないで我慢して乗った。これから列車がなくなってバスしかなくなったら大変だなーと思う。乗っている人数が少ないからと言って走らせないのはおかしいのではないか。札幌などは人が多いが、僻地は人が少ないのは当たり前。田舎でも都会でも公共交通として平等に列車を走らせてほしい。何としても復旧してほしい。
■浦河・男性60代
「未来へ向けての明るい展望を打ち出せなければ」
3年ほど前に浦河に転居してきたが、それ以前にも夏だけ浦河に来ていた時期に、一度だけ日高線に乗ったことがある。
印象的だったのは、4~5年前に浦河町出身の田中光敏監督が作った浦河町のPRビデオで、イントロが日高線だったこと。つまり、日高線は日高の観光資源であるということ。
私は技術畑の仕事をしていて、技術面からすると、「残す意味はあるのか」「バスなど他の乗り物が良いのではないか」という意見は、半分は分かる。
昔からあったからそのまま残すべき、と感情論的に言うのは難しいだろうとは思う。実際に、観光資源としてこう活用するのだ、地域の足としてこう活用するのだという将来へ向けての明るい展望を打ち出せなければ、日高線は残らないだろうと思う。
国としては、地方創生などと言っていますが、鉄道を無くすということ自体が地方創生と逆行するものだと思う。JRは国と交渉もしないで地元にだけ負担を…という方向を見ていると、今の国の体質がそのまま出ていて、行政を行っている担当者の怠慢というか、自身のやるべきことをきちんとやっていない、そういう中で日高線がつぶれるということには納得できない思いだ。
■苫小牧・男性40代
「観光振興などお金をかけずにできる提案を、住民から」
昨年11月19日に苫小牧-鵡川間の日高線が復旧した際に「花のめぐみ」というラッピング列車を運行させるプロジェクトの仕掛け人をやった。周りにも、「そんな素敵な列車があったのなら是非乗ってみたかった」という声が多かった。現在は夕張支線を多く走っているようだが、日高線も運行路線として走ることになっているので、住民から活用策を伝えていかねばと思っている。
JR北海道はお金がないと言うが、観光振興という部分では、お金をかけなくてもできることはあると思う。今あるものをどう生かすかが大事ではないか。
JR北海道から切り離された道南いさりび鉄道は、JR北海道から駅・車両・人材を引き受けた第三セクターの会社。沿線の方々は口々に「バスはみんな前を向いて座るから会話がない。だが、列車は両側合わせシートで向かい合って座るので会話が出来て心温まる」と話している。
例えば、いさりび鉄道では、海をバックにイカ釣りの灯りを列車の電気を消したロケーションで見る、ちょうど夜空を見上げるような形で、というのをやっている。それと同じ風景が、実は日高線の勇払-浜厚真の間、ちょうど苫東厚真火力発電所のあるところにある。この部分が夜ピカピカ光って大変美しい。その部分のナイトクルージングだとか、そういったことはあまりお金をかけずにできるのではないか。
他にも、除雪用車両の機関車と連結した普通列車の旅、鉄道安全の日に行われるトンネル火災訓練ツアー、線路の除雪費も問題になっているが、これをツアー商品化して除雪ツアーを企画するなど、アイディアは様々出てくるのではないか。
また、トラックの物流においてもドライバー不足が深刻である。現在宗谷線で貨客混載が実験中であるが、日高でも同様の試みが可能であるのではないか。JRにとっては運送収入にもなる。
反対反対でなく、「こうしたらお客さんが来るのではないか」という提案をピンポイントで住民が行うなどして、やはり利用したい路線にしなければならない。
■苫小牧・男性70代
「JR以外の会社による運行も視野に、希望を持って」
国鉄勤務時に機関士として日高線にも乗っていた(運行していた)。
三陸鉄道は、今般JR山田線を受け継いでその区間を8年ぶりに復旧した。8年かかって開通しているのですから、ここはまだ4年、まだまだ頑張るべき。この素晴らしい日高の観光資源は、北海道の財産。日高線が走れば全国網で繋がる。
JR北海道は、やる気がないなら経営権を放してほしい。(経営権を)国に戻しながら、改めて本州の私鉄なども含めて資本の導入をしていく、別の会社にやってもらう等、そういう面も含めて大きな希望を持ってやっていきたい。
分割民営化の際、日高本線の支線・富内線や道内の長大4線が全部廃止になった。「これで北海道の皆さん、安心して下さい」と、そうやって公約を掲げて選挙をやったのが自民党。あの時点で、日高線は距離が長すぎてバスでは代替できないという理由で残った。今だって距離は変わっておらず同じなのだから、バス転換などナンセンスである。海岸線は国土保全ですから、国が責任を持つのは当たり前。そういう意味では政治的に国会でも取り上げてもらって大きな運動にしていかないといけない。
たまさか今度の知事選で、石川さんが鉄道を守らなければいけない、住民の足として鉄道を位置づけると言っている。そういう面では知事選を大いに活用しながら、公開質問状を出しながら盛り上げていく。そういう形で運動を作って行った方がいいのではないか。そうやって全道規模で運動を盛り上げて、池田町長を支えて行くという立場でやっていくことがいいと思う。
■浦河・男性70代
「運転免許返還後が心配、列車の快適性も」
これから私たちのような町は、観光で頑張っていかなければならない。そういう意味でも日高線が必要。
一番心配しているのは、団塊世代とその前後の人たちの運転免許証の返還後のこと。この世代は、日本の人口の相当の割合を占めると思うが、私を含めてこの層の人たちが、車を運転できない、人に頼んでも目的地まで行かれない、ということになれば、これは大変なことになるのではないか。私たちの世代はモータリゼーションの右肩上がりの時代を来て、鉄道には乗らないということが多かったが、その年齢層も免許を返上した後は、身体の楽な乗り物に乗らなければ大変だ。列車の快適性という問題も重要。
道知事選候補の石川さんが、JR問題が選挙の争点になると言っている。本来こういう予見できることについては、政治家が考えて先手を打ってくれるはずだが、どうやらそうでもない。一般の国民が立ち上がって自分たちを守るべきだと思う。
■浦河・男性40代
「JR日高線、外から見ると・・・」
最近浦河に移住してきた。日高線には乗ったことがない。ツアーコンダクターをやっていた。今日は、日高線問題を外から見たら・・・という観点でお話ししたい。
・若い人の参加を
10~30代の若い人にもっと声掛けをして、声を上げてもらいたい。沖縄の運動も、若い人が結構やっていて注目されているが、この問題もそうやって報道に写真を撮って紹介してもらうなどして広げたい。団塊の世代の人たちだけが言っていることだと思われてはだめだと思う。今以上にいろいろな世代の人たちに声掛けしていく必要がある。
・自分たちが動いていくことが重要
JRも道も国もいい加減だが、だからこそ我々自身が動いていく、自分たちで何かを始めることが大事だと思う。やれることはいろいろある。分かりやすい情報をネットで拡散するとか、もっと気軽にこういうことを話せる場を近場で頻繁に作るなど、広がりがあるといいと思う。意気消沈することはない。内心列車があった方がいいと思いながら、言いにくいと思っている方が確実にいるので、そういう方にも積極的に話しかけて、掘り起こしていくといいと思う。
・インバウンドにバスは難しい
本州で添乗員をやっていたが、6~7年前から日本にも外国人のお客さんがたくさん来ている。が、まず線路で汽車が来ないと、外国の方はまず来ない。外国の方が利用できるフリーパスが使えない。外国人観光客はあまり来なくてもいいとお思いの方もいると思いますが、来てお金だけ使ってもらえばいいじゃないですか、昆布を買ってもらうなどして。ちょっと想像してみて下さい、皆さんがアメリカ、台湾、韓国などへ行くとして、地下鉄とバスがあったら、どちらに乗りますか? たぶん地下鉄だと思います。なぜかと言うと、駅が分かっているから。バスの場合だと、バス停の名前も分からないし、車内の案内も聞こえない。駅だったら何個目の駅と分かりますが、バス停の場合はお客さんがいないと通り過ぎてしまって何個目のバス停か分からない。たぶんバスしかなかったら、そこには外国の人はほとんど行かないと思います。バスは外国人観光客には非常に難しい。それがよく分かるのは、広尾、大樹、忠類ですね。あそこに広尾線があったら、観光客の方も行っていたと思いますが、なくなってしまったのでなかなか行けない。シンガポールや香港のお金持ちは、レンタカーにも乗りたい。でも冬はレンタカーには乗らない。そうするとここには来なくなってしまいます。
・バス業界の問題
名古屋や大阪で、苺狩り日帰りなどのバスツアーの添乗員をやっていたが、バスの運転手さんは確実に少なくなっている。だから、割と高齢の運転手さんが事故を起こしてしまう。ここが全然議論に上っていないのが不思議。軽井沢のスキーバスツアーの事故もありましたが、あれは高齢だったり人手不足の問題がある。大手のバス会社にツアーを依頼しても、運転手がいないから、子会社に頼んだりする。そうすると、実際に来るのは子会社のバスだったりする。そういう状況を知らない方が多いのではないか。本当にバスは少なくなっているし、実際に大型二種の免許を持っている方、国や道にもデータがあると思うが、その中にはもう運転手をされていない方も入っている。
私が心配しているのは、JRが保証している10年後、20年後のこと。それが終わったら、バスもなくなって乗れなくなってしまうのではないか。その後のことをあまり考えていないのは問題。改めて考えてみると、バス転換では全然ダメじゃないかということがたくさんある。それをもっと声を大にして伝えていく必要がある。
・復旧後の具体的提案を
この会での議論を、この会だけで終わらせてしまうのではなく、本当に汽車を走らせるためには何をやっていくかと言う実務的なことをもっと我々で話していきたい。例えば、前と同じ状態に復活してもダメだと思う。観光だけじゃなくて、もっと町の人が使いやすいように駅の場所を移すとか、駅を増やしたり・・・例えば、今の浦河駅を「役場前」に変えて「パセオ」というスーパー前の駅を作るとか、例えば一区間100円にするなどすればそれなら乗るかという人が増えるのではないか等々、いくらでも経営努力はできるはず。町として13億も負担するのは大きい。赤字は補填できないが、人が乗るような努力や提言はいっぱいできますよ、ということはできると思う。もっとそういう話ができないかと感じている。
・旅行戦略も
例えば苺狩り日帰りバスツアーの中に、ローカル線2区間だけ乗って帰ってくる、というものもある。旅行会社は、あまりお金を掛けずに変わったことがしたい。例えば、札幌の旅行会社が襟裳岬日帰りツアーをやる時に、日高線3区間だけ乗って下さい、そのかわりバス会社やお客様に小さなプレゼントをあげますよ、とかそういうことがあれば、旅行会社は絶対にパンフレットに載せる。宣伝になる。地域の方々は、とにかく汽車が来たらこうする、JRにはこういう利益がある、という具体的な案を明確にする必要があると思う。
■浦河・女性70代
「日高線の乗客が減った原因」
札幌行の急行がなくなって、料金が2.5倍に高くなったこと、それがJRに乗らなくなった最大の理由。前は、朝6時前後の列車に乗れば朝9時台に札幌について、会議等に出て、帰りは夕方6時台の列車に乗れば夜9時半か10時には帰って来られた。それまでは、役場も支庁も全部公務員の出張は列車だった。それがなくなって不便になったことが、最大の原因。それで不便になったということで、道南バスのペガサス号ができた。日高線に乗らなくなった、のではなく、乗れなくなった、乗れなくしたのはJR。
■苫小牧・男性70代
「JR北海道の苦境のそもそもの原因」
そもそもの話を考えてみたい。30年前の国鉄分割民営化の時に、国が6822億円の経営安定基金をJR北海道に出して、年間の運用益約500億円で赤字を賄う、という約束だった。それが、バブル崩壊後の国の低金利政策で運用益が目減りし、累計で4500億円ももらえるものがもらえていない。ここに根本的な原因がある。ですから、この打開策というのは、結構政治的なものだと思う。
道知事候補の石川氏が、立候補の会見で、「廃線にするのは簡単なことだが、物流・観光・地域の足の面からも、いったん踏みとどまって何とか鉄路を残すということを検討したい」と言っている。ここにもっと注目して、何とかこの方向に実現したいと個人的には思っています。
■苫小牧・男性30代
「鉄道マニアも」
列車の目的は、通勤・通学・通院、観光、ビジネスなど多々あるが、鉄道マニアという存在も案外無視できないのではないか、と個人的には思っている。例えば中古の電車を走らせているのを写真に撮りたがるマニアの方などが案外多い。そういうイベントをやると、関東・東京あたりからお客さんがやってくると思う。
通院という面では、浦河日赤に通うのに町内コミュニティバスなどは走っているのでしょうか。道南バスの大型バスなどはステップの乗り降りが大変な方がいる。先日苫小牧で見かけたのは、3段ステップに上ろうとしたお年寄りが、持っていた杖を通路に投げつけて、ステップを這って上がっていた。ハイエースなどの10人乗りのような車両をたくさん用意すると、大型二種免許は必要ないですから、そういう運用も地域内で閉じるものであればいいのではないか。
■新ひだか・女性50代
「障害のある人にとっては」
JRの方からは、バス転換になったら低床バスを導入すると言われている。これが障害のある人にとっては、どの駅でも乗れるという感じになる。障がいのある人は、日高線は駅に人がいないのでまず乗れないと諦めてしまうことが多い。JR日高線は、無人駅が多いが、本当は駅に人がいて乗せてもらえるとか、ホームとの段差が少ないとかであれば、車椅子の人でも杖をついている人でも乗れる乗り物です。
そして、障がいのある人が、皆さん乗ってみたら分かると思うのですが、タクシーやハイエースなどの車両で、車椅子でずっと100km以上を移動することの大変さ、車が横に揺れたり曲がったりするたびに体に負担がかかる、その大変さを、一度本当に町長の方たちに経験してもらいたいと思う。
■新ひだか・女性40代
「鉄道廃止と過疎化について」
十勝のふるさと銀河線(池北線)が廃止された当時、陸別町は最後まで廃止に反対しましたが、当時3000人の人口の町でした。それが、列車がなくなったことが直接の原因で、当時10世帯の転出があったそうです。列車があればまだまだ陸別町に住めたという方(透析患者の方や高校通学など)も、北見や他の大きな町へ引っ越ししなければならなくなってしまった。廃止が直接人口減少に繋がるということで、十勝も13万人の人口が2万人減ったと新聞で読んだ。それが全て鉄道廃止が原因ではない、どっちみち過疎化するのだという人もいますが、鉄道が廃止された地域の方が、減り方は大きいということは確実に言えると思う。
■浦河・男性40代
「いったん走らせて」
いったん走らせてもらって、もう一回我々が頑張って乗客を増やす努力をして、それでもし本当にだめだったらその時に廃止してもらえば良くて、今走ってもいないのにだめですと言われるのはフェアじゃない。走らせてみて、いっぱい観光の人を呼んでくるなどの努力をする、それをした上で、一年二年経ってみてやっぱり全然だめだったとなったら、その時また考えてもらえばいいと思う。とにかく一度走らせてほしい。
日に日に寒さも和らいでまいりましたが、先週は胆振東部地震の大きな余震もあり、私も含めて怖い思いをした方も多いかと思いますが、皆さま無事でお過ごしでしょうか。
さて、私どもJR日高線を守る会は、先日2月20日に浦河にて市民集会を開催いたしました。日高管内外より30名ほどが集まり、大変有意義な議論が交わされました。全てではありませんが、主要な発言を文字起こししたものを以下に収録いたしますので、ご一読頂けると幸いです。なお、この全文は、日高町村会の各町長様にも郵送しています。
私たちの視線はとかく足元に向きがちですが、ひとたび視線を北海道の外へ転じてみますと、福島県では只見線の復旧工事が8年ぶりに開始されようとしています。また、三陸鉄道はJR山田線を譲り受けて被災部分を間もなく復旧します。九州では熊本震災で不通になった南阿蘇鉄道などの復旧に向かっています。日高線の位置付けはこれらの復旧工事下の本州以南の鉄道と比べても決して低いわけではありません。鉄道の持つ地域維持の大きな効果をご理解いただいたうえで、いま一度この素晴らしい日高本線の価値と意義をご確認いただき、そして復旧存続についての議論を喚起したいと思います。
2019年2月20日(水) 於 浦河町総合文化会館2階 第三研修室
「今だから、ちゃんと話そう。日高線」 主催:JR日高線を守る会
参加人数:約30名(報道含めて40名弱) 18:00~20:00
発言録(順不同)
■様似町・男性80代
「国は、北海道をどうするつもりか」
様似駅は始発駅でもあり終着駅でもある。日高線が様似まで全線開通したのは昭和12年。私は昭和11年生まれなので日高線は一つ年下の弟です。昔の日高線は、貨車の入れ替えをやっていて、静内や富川では20~30分もかかった。札幌まで行くのも一日仕事だった。一番列車に乗って室蘭発の準急に苫小牧で乗り換えたら1時過ぎに札幌に着いて、3時の札幌発の列車に乗れば苫小牧発の最終列車に間に合う。日帰りできると当時話題になった。
様似から札幌まで4時間で行けるようになり、それが一日3往復あった。なぜかは分からないが、それを無くしてしまった。JRは、わざと乗りにくくして乗りにくくして、「(乗客が)乗らない、乗らない」と言っている。それもいかがなものか。
日高線は、木材や馬の運搬も担っていた。貨車に、馬が乗れるような柵を作って、牧草も積んで、馬を管理する人も一緒に乗っていた。大きな駅へ行って貨車の入れ替えになると、どっかの構内の端っこにボーンと置かれてしまって、いつ運ばれるか分からない、そういう歴史があって大変だった。
ここへ来て、日高線をなくすという。JRは採算が合うか合わないかしか考えていない。私も仕事で全道各地を歩くが、広尾線がなくなり、池北線がなくなり、あらゆるところがどんどん廃線になっている。日高線もなくなったら、この襟裳岬を中心にした胆振から十勝にかけての三角地帯から鉄道が全くなくなるということになる。その中から思い浮かぶのは、「国は一体北海道をどうするつもりか」ということ。赤字の問題というのは日高線だけの問題ではありませんから、全道的に赤字である。そういう中で、「赤字だから鉄道をやめる」ということになったら、一体北海道そのものを国はどうするつもりでいるのか、これは国の責任を明確に問わなければならない。そういう論点が、町村会の議論を聞いていても何を聞いていても、一向に出てこない。これが非常に問題である。我々の運動も、国に問いかける、国に「北海道を見捨てていいのか」と、そこのところを見捨てるつもりの代議士は、北海道から一人も当選させないぞ、とそのくらいの迫力でやらないと突破できないですよ。
ちなみに、私は様似の坂下町長に、「日高線をなくするべきではない」と何回か言ったことがある。坂下町長は、建前では残したいと言っているが、腹の底では最初からバス転換。今お鉢が回ってきて町村会長をやっているが、しっかりしてもらわないと。そういう面では、池田町長に私は多大な敬意を表したいと思っている。
やっぱり鉄道とはそういう問題だと思う。もっとみんな広くアピールするようなことをお互いに意識して、そういう啓蒙を積極的にやるべきだと思う。
■苫小牧・男性70代
「最初の赴任地、浦河の思い出」
高校を卒業して浦河の電電公社に独身で赴任した。当時浦河駅を降りたら、ザバー、ザバーと50mもないところに波が打ち寄せていた。約50年前は、築地という場所はなかった。
様似、アポイ岳、馬、海産物などなど独特の景観で日高路は本当に素晴らしい。また、息子が浦河に住んでいる関係で苫小牧からよく浦河に来るのに利用する。この素晴らしい日高線を本当になくしてはいけない。
■浦河・女性70代
「日高線の思い出」
日高線に乗って、昭和37年に夫の実家のある浦河に、当時20万都市だった小樽からお嫁に来た。駅に着いたとき、暗い中に波が打ち寄せる音がした。そこから降りて、家のある東町までJRバスで行った。当時は国道も舗装されておらず泥んこで、「本当に私はここに住むんだろうか」と思ったが、朝起きて見たら周りにもたくさん家があって、安心した思い出がある。
当時、浦河には国の出先機関がたくさんあった。裁判所、測候所、法務局などなど、支庁(※今も振興局となってある)や銀行もあった。転勤するときは、地位もある人もない人もみんな駅に着くし、転勤するときは駅から出発した。みんな駅に出て見送り、出迎えした。
東町駅は、浦河高校や日赤に通う人のために後からできた新しい駅。人の暮らしに沿ったもの。また、日高線は、木材、馬、魚を運んだりする大事なもの。浦河の歴史と線路はくっついている。線路は、命をつなぐ大事なもの。無くさないで残すべき。
■苫小牧・男性70代
「日高線の思い出」
現在苫小牧に住んでいるが、生まれは浦河。今、日高振興局のある栄丘(さかえおか)に住んでいた。当時そこから浦河小学校に通っていた。強風の中、山道(さんどう)を泣きながら通った。思い出深いのは、学校の先生が転勤するときに、駅まで見送りに行ったこと。人数が多い時には、線路に沿ってずらーっと並んで手を振った。
苫小牧で日高線復旧存続の署名を集めていた時、「今は様似まで列車では行けないんですね。列車を通してほしい」という方がたくさんいた。興味関心のある人がたくさんいるのだと感慨深かった。
■三石・女性60代
「バスでの移動は本当に大変。公共交通として平等に」
先日とある男性から、「代行バスに乗ったが、三石から苫小牧まで4時間くらいもかかって大変だった」と聞いた。これから列車をなくしてバスの生活はいやだ、と署名してくれた。
また、ある女性からは、「姉が苫小牧にいるが、列車が今ないのでお見舞いに行けない。もしかすると会えないかもしれないが、バスでなんかはとっても行けない。列車がなくて困っている」と聞いた。
一人、日高線の復旧等のために税金の負担が増えたら困るからと言って、署名してくれなかった人もいた。
自分自身も去年の秋に苫小牧から三石まで初めて代行バスに乗ったが、3時間半くらいもかかって本当に疲れた。トイレもないので、水も飲まないで我慢して乗った。これから列車がなくなってバスしかなくなったら大変だなーと思う。乗っている人数が少ないからと言って走らせないのはおかしいのではないか。札幌などは人が多いが、僻地は人が少ないのは当たり前。田舎でも都会でも公共交通として平等に列車を走らせてほしい。何としても復旧してほしい。
■浦河・男性60代
「未来へ向けての明るい展望を打ち出せなければ」
3年ほど前に浦河に転居してきたが、それ以前にも夏だけ浦河に来ていた時期に、一度だけ日高線に乗ったことがある。
印象的だったのは、4~5年前に浦河町出身の田中光敏監督が作った浦河町のPRビデオで、イントロが日高線だったこと。つまり、日高線は日高の観光資源であるということ。
私は技術畑の仕事をしていて、技術面からすると、「残す意味はあるのか」「バスなど他の乗り物が良いのではないか」という意見は、半分は分かる。
昔からあったからそのまま残すべき、と感情論的に言うのは難しいだろうとは思う。実際に、観光資源としてこう活用するのだ、地域の足としてこう活用するのだという将来へ向けての明るい展望を打ち出せなければ、日高線は残らないだろうと思う。
国としては、地方創生などと言っていますが、鉄道を無くすということ自体が地方創生と逆行するものだと思う。JRは国と交渉もしないで地元にだけ負担を…という方向を見ていると、今の国の体質がそのまま出ていて、行政を行っている担当者の怠慢というか、自身のやるべきことをきちんとやっていない、そういう中で日高線がつぶれるということには納得できない思いだ。
■苫小牧・男性40代
「観光振興などお金をかけずにできる提案を、住民から」
昨年11月19日に苫小牧-鵡川間の日高線が復旧した際に「花のめぐみ」というラッピング列車を運行させるプロジェクトの仕掛け人をやった。周りにも、「そんな素敵な列車があったのなら是非乗ってみたかった」という声が多かった。現在は夕張支線を多く走っているようだが、日高線も運行路線として走ることになっているので、住民から活用策を伝えていかねばと思っている。
JR北海道はお金がないと言うが、観光振興という部分では、お金をかけなくてもできることはあると思う。今あるものをどう生かすかが大事ではないか。
JR北海道から切り離された道南いさりび鉄道は、JR北海道から駅・車両・人材を引き受けた第三セクターの会社。沿線の方々は口々に「バスはみんな前を向いて座るから会話がない。だが、列車は両側合わせシートで向かい合って座るので会話が出来て心温まる」と話している。
例えば、いさりび鉄道では、海をバックにイカ釣りの灯りを列車の電気を消したロケーションで見る、ちょうど夜空を見上げるような形で、というのをやっている。それと同じ風景が、実は日高線の勇払-浜厚真の間、ちょうど苫東厚真火力発電所のあるところにある。この部分が夜ピカピカ光って大変美しい。その部分のナイトクルージングだとか、そういったことはあまりお金をかけずにできるのではないか。
他にも、除雪用車両の機関車と連結した普通列車の旅、鉄道安全の日に行われるトンネル火災訓練ツアー、線路の除雪費も問題になっているが、これをツアー商品化して除雪ツアーを企画するなど、アイディアは様々出てくるのではないか。
また、トラックの物流においてもドライバー不足が深刻である。現在宗谷線で貨客混載が実験中であるが、日高でも同様の試みが可能であるのではないか。JRにとっては運送収入にもなる。
反対反対でなく、「こうしたらお客さんが来るのではないか」という提案をピンポイントで住民が行うなどして、やはり利用したい路線にしなければならない。
■苫小牧・男性70代
「JR以外の会社による運行も視野に、希望を持って」
国鉄勤務時に機関士として日高線にも乗っていた(運行していた)。
三陸鉄道は、今般JR山田線を受け継いでその区間を8年ぶりに復旧した。8年かかって開通しているのですから、ここはまだ4年、まだまだ頑張るべき。この素晴らしい日高の観光資源は、北海道の財産。日高線が走れば全国網で繋がる。
JR北海道は、やる気がないなら経営権を放してほしい。(経営権を)国に戻しながら、改めて本州の私鉄なども含めて資本の導入をしていく、別の会社にやってもらう等、そういう面も含めて大きな希望を持ってやっていきたい。
分割民営化の際、日高本線の支線・富内線や道内の長大4線が全部廃止になった。「これで北海道の皆さん、安心して下さい」と、そうやって公約を掲げて選挙をやったのが自民党。あの時点で、日高線は距離が長すぎてバスでは代替できないという理由で残った。今だって距離は変わっておらず同じなのだから、バス転換などナンセンスである。海岸線は国土保全ですから、国が責任を持つのは当たり前。そういう意味では政治的に国会でも取り上げてもらって大きな運動にしていかないといけない。
たまさか今度の知事選で、石川さんが鉄道を守らなければいけない、住民の足として鉄道を位置づけると言っている。そういう面では知事選を大いに活用しながら、公開質問状を出しながら盛り上げていく。そういう形で運動を作って行った方がいいのではないか。そうやって全道規模で運動を盛り上げて、池田町長を支えて行くという立場でやっていくことがいいと思う。
■浦河・男性70代
「運転免許返還後が心配、列車の快適性も」
これから私たちのような町は、観光で頑張っていかなければならない。そういう意味でも日高線が必要。
一番心配しているのは、団塊世代とその前後の人たちの運転免許証の返還後のこと。この世代は、日本の人口の相当の割合を占めると思うが、私を含めてこの層の人たちが、車を運転できない、人に頼んでも目的地まで行かれない、ということになれば、これは大変なことになるのではないか。私たちの世代はモータリゼーションの右肩上がりの時代を来て、鉄道には乗らないということが多かったが、その年齢層も免許を返上した後は、身体の楽な乗り物に乗らなければ大変だ。列車の快適性という問題も重要。
道知事選候補の石川さんが、JR問題が選挙の争点になると言っている。本来こういう予見できることについては、政治家が考えて先手を打ってくれるはずだが、どうやらそうでもない。一般の国民が立ち上がって自分たちを守るべきだと思う。
■浦河・男性40代
「JR日高線、外から見ると・・・」
最近浦河に移住してきた。日高線には乗ったことがない。ツアーコンダクターをやっていた。今日は、日高線問題を外から見たら・・・という観点でお話ししたい。
・若い人の参加を
10~30代の若い人にもっと声掛けをして、声を上げてもらいたい。沖縄の運動も、若い人が結構やっていて注目されているが、この問題もそうやって報道に写真を撮って紹介してもらうなどして広げたい。団塊の世代の人たちだけが言っていることだと思われてはだめだと思う。今以上にいろいろな世代の人たちに声掛けしていく必要がある。
・自分たちが動いていくことが重要
JRも道も国もいい加減だが、だからこそ我々自身が動いていく、自分たちで何かを始めることが大事だと思う。やれることはいろいろある。分かりやすい情報をネットで拡散するとか、もっと気軽にこういうことを話せる場を近場で頻繁に作るなど、広がりがあるといいと思う。意気消沈することはない。内心列車があった方がいいと思いながら、言いにくいと思っている方が確実にいるので、そういう方にも積極的に話しかけて、掘り起こしていくといいと思う。
・インバウンドにバスは難しい
本州で添乗員をやっていたが、6~7年前から日本にも外国人のお客さんがたくさん来ている。が、まず線路で汽車が来ないと、外国の方はまず来ない。外国の方が利用できるフリーパスが使えない。外国人観光客はあまり来なくてもいいとお思いの方もいると思いますが、来てお金だけ使ってもらえばいいじゃないですか、昆布を買ってもらうなどして。ちょっと想像してみて下さい、皆さんがアメリカ、台湾、韓国などへ行くとして、地下鉄とバスがあったら、どちらに乗りますか? たぶん地下鉄だと思います。なぜかと言うと、駅が分かっているから。バスの場合だと、バス停の名前も分からないし、車内の案内も聞こえない。駅だったら何個目の駅と分かりますが、バス停の場合はお客さんがいないと通り過ぎてしまって何個目のバス停か分からない。たぶんバスしかなかったら、そこには外国の人はほとんど行かないと思います。バスは外国人観光客には非常に難しい。それがよく分かるのは、広尾、大樹、忠類ですね。あそこに広尾線があったら、観光客の方も行っていたと思いますが、なくなってしまったのでなかなか行けない。シンガポールや香港のお金持ちは、レンタカーにも乗りたい。でも冬はレンタカーには乗らない。そうするとここには来なくなってしまいます。
・バス業界の問題
名古屋や大阪で、苺狩り日帰りなどのバスツアーの添乗員をやっていたが、バスの運転手さんは確実に少なくなっている。だから、割と高齢の運転手さんが事故を起こしてしまう。ここが全然議論に上っていないのが不思議。軽井沢のスキーバスツアーの事故もありましたが、あれは高齢だったり人手不足の問題がある。大手のバス会社にツアーを依頼しても、運転手がいないから、子会社に頼んだりする。そうすると、実際に来るのは子会社のバスだったりする。そういう状況を知らない方が多いのではないか。本当にバスは少なくなっているし、実際に大型二種の免許を持っている方、国や道にもデータがあると思うが、その中にはもう運転手をされていない方も入っている。
私が心配しているのは、JRが保証している10年後、20年後のこと。それが終わったら、バスもなくなって乗れなくなってしまうのではないか。その後のことをあまり考えていないのは問題。改めて考えてみると、バス転換では全然ダメじゃないかということがたくさんある。それをもっと声を大にして伝えていく必要がある。
・復旧後の具体的提案を
この会での議論を、この会だけで終わらせてしまうのではなく、本当に汽車を走らせるためには何をやっていくかと言う実務的なことをもっと我々で話していきたい。例えば、前と同じ状態に復活してもダメだと思う。観光だけじゃなくて、もっと町の人が使いやすいように駅の場所を移すとか、駅を増やしたり・・・例えば、今の浦河駅を「役場前」に変えて「パセオ」というスーパー前の駅を作るとか、例えば一区間100円にするなどすればそれなら乗るかという人が増えるのではないか等々、いくらでも経営努力はできるはず。町として13億も負担するのは大きい。赤字は補填できないが、人が乗るような努力や提言はいっぱいできますよ、ということはできると思う。もっとそういう話ができないかと感じている。
・旅行戦略も
例えば苺狩り日帰りバスツアーの中に、ローカル線2区間だけ乗って帰ってくる、というものもある。旅行会社は、あまりお金を掛けずに変わったことがしたい。例えば、札幌の旅行会社が襟裳岬日帰りツアーをやる時に、日高線3区間だけ乗って下さい、そのかわりバス会社やお客様に小さなプレゼントをあげますよ、とかそういうことがあれば、旅行会社は絶対にパンフレットに載せる。宣伝になる。地域の方々は、とにかく汽車が来たらこうする、JRにはこういう利益がある、という具体的な案を明確にする必要があると思う。
■浦河・女性70代
「日高線の乗客が減った原因」
札幌行の急行がなくなって、料金が2.5倍に高くなったこと、それがJRに乗らなくなった最大の理由。前は、朝6時前後の列車に乗れば朝9時台に札幌について、会議等に出て、帰りは夕方6時台の列車に乗れば夜9時半か10時には帰って来られた。それまでは、役場も支庁も全部公務員の出張は列車だった。それがなくなって不便になったことが、最大の原因。それで不便になったということで、道南バスのペガサス号ができた。日高線に乗らなくなった、のではなく、乗れなくなった、乗れなくしたのはJR。
■苫小牧・男性70代
「JR北海道の苦境のそもそもの原因」
そもそもの話を考えてみたい。30年前の国鉄分割民営化の時に、国が6822億円の経営安定基金をJR北海道に出して、年間の運用益約500億円で赤字を賄う、という約束だった。それが、バブル崩壊後の国の低金利政策で運用益が目減りし、累計で4500億円ももらえるものがもらえていない。ここに根本的な原因がある。ですから、この打開策というのは、結構政治的なものだと思う。
道知事候補の石川氏が、立候補の会見で、「廃線にするのは簡単なことだが、物流・観光・地域の足の面からも、いったん踏みとどまって何とか鉄路を残すということを検討したい」と言っている。ここにもっと注目して、何とかこの方向に実現したいと個人的には思っています。
■苫小牧・男性30代
「鉄道マニアも」
列車の目的は、通勤・通学・通院、観光、ビジネスなど多々あるが、鉄道マニアという存在も案外無視できないのではないか、と個人的には思っている。例えば中古の電車を走らせているのを写真に撮りたがるマニアの方などが案外多い。そういうイベントをやると、関東・東京あたりからお客さんがやってくると思う。
通院という面では、浦河日赤に通うのに町内コミュニティバスなどは走っているのでしょうか。道南バスの大型バスなどはステップの乗り降りが大変な方がいる。先日苫小牧で見かけたのは、3段ステップに上ろうとしたお年寄りが、持っていた杖を通路に投げつけて、ステップを這って上がっていた。ハイエースなどの10人乗りのような車両をたくさん用意すると、大型二種免許は必要ないですから、そういう運用も地域内で閉じるものであればいいのではないか。
■新ひだか・女性50代
「障害のある人にとっては」
JRの方からは、バス転換になったら低床バスを導入すると言われている。これが障害のある人にとっては、どの駅でも乗れるという感じになる。障がいのある人は、日高線は駅に人がいないのでまず乗れないと諦めてしまうことが多い。JR日高線は、無人駅が多いが、本当は駅に人がいて乗せてもらえるとか、ホームとの段差が少ないとかであれば、車椅子の人でも杖をついている人でも乗れる乗り物です。
そして、障がいのある人が、皆さん乗ってみたら分かると思うのですが、タクシーやハイエースなどの車両で、車椅子でずっと100km以上を移動することの大変さ、車が横に揺れたり曲がったりするたびに体に負担がかかる、その大変さを、一度本当に町長の方たちに経験してもらいたいと思う。
■新ひだか・女性40代
「鉄道廃止と過疎化について」
十勝のふるさと銀河線(池北線)が廃止された当時、陸別町は最後まで廃止に反対しましたが、当時3000人の人口の町でした。それが、列車がなくなったことが直接の原因で、当時10世帯の転出があったそうです。列車があればまだまだ陸別町に住めたという方(透析患者の方や高校通学など)も、北見や他の大きな町へ引っ越ししなければならなくなってしまった。廃止が直接人口減少に繋がるということで、十勝も13万人の人口が2万人減ったと新聞で読んだ。それが全て鉄道廃止が原因ではない、どっちみち過疎化するのだという人もいますが、鉄道が廃止された地域の方が、減り方は大きいということは確実に言えると思う。
■浦河・男性40代
「いったん走らせて」
いったん走らせてもらって、もう一回我々が頑張って乗客を増やす努力をして、それでもし本当にだめだったらその時に廃止してもらえば良くて、今走ってもいないのにだめですと言われるのはフェアじゃない。走らせてみて、いっぱい観光の人を呼んでくるなどの努力をする、それをした上で、一年二年経ってみてやっぱり全然だめだったとなったら、その時また考えてもらえばいいと思う。とにかく一度走らせてほしい。
2019年2月15日金曜日
2月20日(水)浦河 市民トーク集会のお知らせ
【2月20日(水)浦河にて市民トーク集会を行います】
皆様こんにちは、村井です。
2月20日(水)の夜、浦河にて下記の通り市民集会を行います。肩肘張らずに、お茶とお菓子をつまみながら、普段着で気軽に日高線についてお話しできる場にしたいと思っておりますので、皆さまどうぞお気軽にご参加ください。どうぞよろしくお願いいたします。
****************
今だから、ちゃんと話そう。
日 高 線
被災から4年
周辺住民の思いを
存続・廃止・中間派、
今だからこそ
もう一度、お話ししてみませんか?
先人たちが苦労してつくりあげ、
日高の人たちの
たくさんの思いを乗せて
走ったJR日高線。
残す? 残さない?
いろいろな思いを含めて、
今一度、ちゃんとお話ししてみませんか?
■日高線への思いを語ろう■
日 時: 2月20日(水)18:00~
場 所: 浦河町総合文化会館2階 第三会議室
参加費: 無料
もし懐かしのお写真などがございましたら、
是非ご持参ください!
問い合わせ: JR日高線を守る会 村井直美
090-8906-8161
restart.hidakasen@gmail.com
**************
今回は、どなたか講師の方をお呼びして講演を聞くとか、パネルディスカッションをするとか、そういうことはせずに、参加して頂いた皆さんで輪になって、それぞれ少しずつ皆さんに語って頂いたり、自由に意見交換をしたりできる場にしたいな、と思っております。司会は村井が務めます。
ご自分は発表したり意見を言ったりせずに、皆さんのお話や意見を聞くだけにしたいな、という方ももちろん大歓迎です! どうぞお気軽にお越しください。
お一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。
皆様こんにちは、村井です。
2月20日(水)の夜、浦河にて下記の通り市民集会を行います。肩肘張らずに、お茶とお菓子をつまみながら、普段着で気軽に日高線についてお話しできる場にしたいと思っておりますので、皆さまどうぞお気軽にご参加ください。どうぞよろしくお願いいたします。
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今だから、ちゃんと話そう。
日 高 線
被災から4年
周辺住民の思いを
存続・廃止・中間派、
今だからこそ
もう一度、お話ししてみませんか?
先人たちが苦労してつくりあげ、
日高の人たちの
たくさんの思いを乗せて
走ったJR日高線。
残す? 残さない?
いろいろな思いを含めて、
今一度、ちゃんとお話ししてみませんか?
■日高線への思いを語ろう■
日 時: 2月20日(水)18:00~
場 所: 浦河町総合文化会館2階 第三会議室
参加費: 無料
もし懐かしのお写真などがございましたら、
是非ご持参ください!
問い合わせ: JR日高線を守る会 村井直美
090-8906-8161
restart.hidakasen@gmail.com
**************
今回は、どなたか講師の方をお呼びして講演を聞くとか、パネルディスカッションをするとか、そういうことはせずに、参加して頂いた皆さんで輪になって、それぞれ少しずつ皆さんに語って頂いたり、自由に意見交換をしたりできる場にしたいな、と思っております。司会は村井が務めます。
ご自分は発表したり意見を言ったりせずに、皆さんのお話や意見を聞くだけにしたいな、という方ももちろん大歓迎です! どうぞお気軽にお越しください。
お一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。
1月29日付け下記道新記事について、所感を述べました。
1月29日付け下記道新記事について、所感を述べました。
同日にFacebookに発表した文章を転載します。
■JR、護岸復旧の意向 日高線7町、鵡川―様似の廃止合意条件
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/271217
「【新ひだか】不通が続くJR日高線鵡川―様似間を巡り、沿線7町長会議が28日、日高管内新ひだか町で開かれ、7町が同区間の廃止に合意することを条件に、JR北海道が海岸保全などを目的として、被災した鉄道護岸の復旧に着手する意向であることが分かった。JR側は会議に出席しておらず、代わりに道幹部が説明した。」
「出席者によると、鉄路の廃止時期が遅れると現時点で約40億円と見込む護岸の復旧費用が一段と膨らむとし、道側は町長らに早期決断を促したという。」
****************
皆さまこんにちは、村井です。
本記事を読んで、驚きと怒りでいっぱいです。
まず、廃止に合意しないと護岸復旧しない、という「論理(?)」に驚いています。鉄道会社が護岸復旧するのは、列車を走らせるためではないのでしょうか。なぜ廃止合意と護岸復旧がバーターになるのでしょうか。今できるというのなら、なぜもっと早期に着手できなかったのでしょうか。この4年間は一体何だったのでしょうか。
さらに、廃止時期が遅れると費用が膨らむので早期に決断を… との報道ですが、JR北海道も道も、この4年間ずっと放置してきて、なぜ今になって「早期に」などと催促できるのでしょうか。この間ずっと、日高町村会は災害復旧を訴えてきました。にもかかわらず、護岸に着手しなかったのはJR北海道ではないでしょうか。復旧するというのなら、まず列車を走らせるべきではないでしょうか。そうやって、現在列車が走っている他路線と同等の条件にした上で、改めて今後の問題を協議検討するべきではないでしょうか。
そもそも日高線は、赤字負担云々の問題ではなく、まずもって災害復旧の問題でしたが、それを強引に赤字負担問題とリンクさせて、護岸工事に着手しなかったのはJR北海道ではないでしょうか。それを、今になって町村会に廃止の話が出てきてから、おもむろに護岸復旧の話を持ち出し、廃止に合意しないと工事しないなどと、およそおかしなことだと思うのは私だけでしょうか。
しかも、このような重大な内容の発表の場にJR北海道が出席しておらず、代わりに道幹部がこれを説明し、地元に決断を迫ったという事実にも驚いています。道は、私たち住民の生活を守り地域振興をはかることが仕事で、本来ならばJRのこのような言動を諌める立場にあると思うのですが、それは私の思い違いだったのでしょうか。
また、2015年の段階で30億円であった復旧費が、4年の放置期間を経て40億に膨らんでいたらしいことにも驚いています。被災したその年の後半に、国・道・JRの3者がそれぞれ10億円ずつ負担するという合意がまとまりかけた時期がありましたが、その時に直していれば、30億円で済んだということでしょうか。
さらに、日高門別まではもともと線路は被災していませんでした。日高町も、日高門別までは走らせてほしいと協議継続の意思表示をしています。そのような中で、鵡川以東の全てを廃止しなければ護岸復旧しないなどと、これまでの協議や地元の意思を無視した「廃止ありき」のひどい物言いではないでしょうか。
このような最低限の論理的整合性もない、地方を無視した単なるごり押しが罷り通るとは、一体どういうことでしょうか。異常が常態化していることに、非常に落胆する思いです。
同日にFacebookに発表した文章を転載します。
■JR、護岸復旧の意向 日高線7町、鵡川―様似の廃止合意条件
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/271217
「【新ひだか】不通が続くJR日高線鵡川―様似間を巡り、沿線7町長会議が28日、日高管内新ひだか町で開かれ、7町が同区間の廃止に合意することを条件に、JR北海道が海岸保全などを目的として、被災した鉄道護岸の復旧に着手する意向であることが分かった。JR側は会議に出席しておらず、代わりに道幹部が説明した。」
「出席者によると、鉄路の廃止時期が遅れると現時点で約40億円と見込む護岸の復旧費用が一段と膨らむとし、道側は町長らに早期決断を促したという。」
****************
皆さまこんにちは、村井です。
本記事を読んで、驚きと怒りでいっぱいです。
まず、廃止に合意しないと護岸復旧しない、という「論理(?)」に驚いています。鉄道会社が護岸復旧するのは、列車を走らせるためではないのでしょうか。なぜ廃止合意と護岸復旧がバーターになるのでしょうか。今できるというのなら、なぜもっと早期に着手できなかったのでしょうか。この4年間は一体何だったのでしょうか。
さらに、廃止時期が遅れると費用が膨らむので早期に決断を… との報道ですが、JR北海道も道も、この4年間ずっと放置してきて、なぜ今になって「早期に」などと催促できるのでしょうか。この間ずっと、日高町村会は災害復旧を訴えてきました。にもかかわらず、護岸に着手しなかったのはJR北海道ではないでしょうか。復旧するというのなら、まず列車を走らせるべきではないでしょうか。そうやって、現在列車が走っている他路線と同等の条件にした上で、改めて今後の問題を協議検討するべきではないでしょうか。
そもそも日高線は、赤字負担云々の問題ではなく、まずもって災害復旧の問題でしたが、それを強引に赤字負担問題とリンクさせて、護岸工事に着手しなかったのはJR北海道ではないでしょうか。それを、今になって町村会に廃止の話が出てきてから、おもむろに護岸復旧の話を持ち出し、廃止に合意しないと工事しないなどと、およそおかしなことだと思うのは私だけでしょうか。
しかも、このような重大な内容の発表の場にJR北海道が出席しておらず、代わりに道幹部がこれを説明し、地元に決断を迫ったという事実にも驚いています。道は、私たち住民の生活を守り地域振興をはかることが仕事で、本来ならばJRのこのような言動を諌める立場にあると思うのですが、それは私の思い違いだったのでしょうか。
また、2015年の段階で30億円であった復旧費が、4年の放置期間を経て40億に膨らんでいたらしいことにも驚いています。被災したその年の後半に、国・道・JRの3者がそれぞれ10億円ずつ負担するという合意がまとまりかけた時期がありましたが、その時に直していれば、30億円で済んだということでしょうか。
さらに、日高門別まではもともと線路は被災していませんでした。日高町も、日高門別までは走らせてほしいと協議継続の意思表示をしています。そのような中で、鵡川以東の全てを廃止しなければ護岸復旧しないなどと、これまでの協議や地元の意思を無視した「廃止ありき」のひどい物言いではないでしょうか。
このような最低限の論理的整合性もない、地方を無視した単なるごり押しが罷り通るとは、一体どういうことでしょうか。異常が常態化していることに、非常に落胆する思いです。
2019年1月11日金曜日
「JR日高本線の再生を求める緊急声明」を発表しました
皆さま、こんにちは。JR日高線を守る会の村井です。
JR日高本線が運休4年を迎えるにあたり、本日、新ひだか町のエクリプスホテルにて記者会見を行い、下記の通り緊急声明を発表いたしました。また、終了後にピュアプラザ前にて街頭宣伝を行いました。ご参集いただいた皆さま、寒い中大変ご苦労様でございました。ありがとうございます。
*****************
JR日高本線の再生を求める緊急声明
JR日高本線の高波被災による運休から4年目を迎えるに当たり、以下の通り声明を発表いたします。
一.バス転換はバラ色ではない
「地元負担を考えればバス転換しかない」という声ばかりを聞きますが、国鉄末期に長大鉄道路線をバスに転換した地域では、転換バスが細切れの運行となった結果、乗客は何度も乗り換えを強いられるようになり、地域社会が丸ごと衰退しています。 速達性と定時制に優れ、長距離輸送に適した鉄道、小規模できめ細かな輸送に向くバスなど、交通機関にはそれぞれの役割があります。鉄道の役割をバスで代行することはそもそも無理なのです。 バス業界は今、車両もドライバーも不足し、乗客がいるのに減便せざるを得ない状況にあります。バス転換派がバラ色の未来のように宣伝するAI(人工知能)や自動運転は、実用化できるかどうかか不確定の段階であり、そのような不確実な新技術に未来を委ねることはできません。私たちに今、最も必要なのは、地に足の着いた公共交通の議論です。 車両やドライバーを確保できるのか、運賃の値上がりや所要時間が延びることはないのか、車椅子の身障者が不便を強いられることがないのかなど心配は尽きず、バス転換後に明るい未来が描けるような具体的な情報も提供されていません。現時点でも、ペガサス号の減便やバス停の減少、新千歳空港直行便のルートカットなど、既に利便性の低下が始まっており、通院に困っている方々が出ています。天北線や池北線(ふるさと銀河線)など道内でバス転換した長大路線では、いずれも乗客が減少し、地域公共交通の衰退に喘いでいる例が少なくありません。このような状況で、根拠も示さず「とにかくバス転換しろ」と言うのは交通弱者の困難を配慮しない主張であり、この段階でのバス転換を受け入れることはできません。
二.説明責任を果たして情報公開を
日高線の議論において最も大切なことは、「スピード感」ではなくて、「住民が真に安心して利用できる公共交通か否か」ということではないでしょうか。公共交通を利用する住民自身が、その内容を十分に検証できるように、日高線をめぐる会議や協議の内容・発言・資料等の情報を、行政が公開し、住民への説明責任を果たすことを求めます。
三.国が責任を果たすべき
そもそも今日のJR北海道の維持困難路線の問題は、「地方の問題」ではなく、JR北海道の経営危機の問題であり、32年前の国鉄分割民営化に端を発する国の政策の失敗によるものです。即ち、経営安定基金の運用益で赤字経営を補うという分割民営化時のスキームが破たんし、運用益の不足額が4600億円にものぼり経営を圧迫したことが、今日の問題の本質です。国鉄改革関連法案が成立した際の国会で「国及び各旅客鉄道株式会社は、経営の安定と活性化に努めることにより、収支の改善を図り、地域鉄道網を健全に保全し、利用者サービスの向上、運賃及び料金の適正な水準維持に努めるとともに、輸送の安全確保のため万全を期すること」「輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと」とする附帯決議が行われ、国もこの決議を尊重することを表明しています。 国の政策の失敗は、国が責任を取るべきであり、こうした歴史的経緯を考えても、地方の路線を廃止して「解決したことにする」べきものではありません。日本全体における北海道の果たす役割と鉄道の公共性に鑑み、国が責任を持って新たなスキームを構築すること、被災していない日高門別までの区間で速やかに運行を再開することを求めます。
四.今こそ「公共交通」の再考を ~鉄道復権に向かう世界
世界では、いったん民営化された公共サービスの再公有化の流れにあります。ヨーロッパでは鉄道の連邦政府や地方政府による運営は当然で、公共交通の運賃無料化に踏み切る国や都市の例さえ出てきています。公共サービスを企業が担い、赤字だと公的責任を放り出して撤退するのが当然とされる日本は今や世界から周回どころか数十周も遅れています。 欧州など世界各国の先進的な鉄道政策に倣い、日本も今ある鉄路を有効活用して、地方と中央との人・モノの移動をより活発にすることにより、一極集中と過疎を同時に緩和することができます。地方の鉄道は、どこも美しい景観と田舎の叙情とを併せ持つ地域の宝=国民の財産であり、地方は一次産業と国土保全の最前線であります。地方の鉄道をめぐる論議は、短期的には廃止の方向に見えても、長期的には世界の趨勢に戻る日が来ざるを得ないでしょう。日高のみならず、北海道、日本全体のためにも、JR北海道の問題は、「公共」とは何かを問い直す機会でもあります。公共交通は私たちの生命を保障するものであり、廃止は生存権を失うことと同じです。私たちはみずからの命の問題として、今後も鉄路維持を訴え続けます。
五.オール北海道で根本的解決への論議を
鉄路の維持・再生は、札幌圏を含む北海道の将来を左右する全道民的な課題であり、また被災した鉄路の災害復旧は北海道だけでなく全国的な課題です。これらの問題を、地域ごと、路線ごとの問題ではなく、全道全国の鉄路維持、公共交通のあり方、私たちの交通権の問題ととらえ、原点に帰っての根本的解決への論議を呼びかけます。
2019年 1月 9日
JR日高線を守る会
JR日高本線が運休4年を迎えるにあたり、本日、新ひだか町のエクリプスホテルにて記者会見を行い、下記の通り緊急声明を発表いたしました。また、終了後にピュアプラザ前にて街頭宣伝を行いました。ご参集いただいた皆さま、寒い中大変ご苦労様でございました。ありがとうございます。
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JR日高本線の再生を求める緊急声明
JR日高本線の高波被災による運休から4年目を迎えるに当たり、以下の通り声明を発表いたします。
一.バス転換はバラ色ではない
「地元負担を考えればバス転換しかない」という声ばかりを聞きますが、国鉄末期に長大鉄道路線をバスに転換した地域では、転換バスが細切れの運行となった結果、乗客は何度も乗り換えを強いられるようになり、地域社会が丸ごと衰退しています。 速達性と定時制に優れ、長距離輸送に適した鉄道、小規模できめ細かな輸送に向くバスなど、交通機関にはそれぞれの役割があります。鉄道の役割をバスで代行することはそもそも無理なのです。 バス業界は今、車両もドライバーも不足し、乗客がいるのに減便せざるを得ない状況にあります。バス転換派がバラ色の未来のように宣伝するAI(人工知能)や自動運転は、実用化できるかどうかか不確定の段階であり、そのような不確実な新技術に未来を委ねることはできません。私たちに今、最も必要なのは、地に足の着いた公共交通の議論です。 車両やドライバーを確保できるのか、運賃の値上がりや所要時間が延びることはないのか、車椅子の身障者が不便を強いられることがないのかなど心配は尽きず、バス転換後に明るい未来が描けるような具体的な情報も提供されていません。現時点でも、ペガサス号の減便やバス停の減少、新千歳空港直行便のルートカットなど、既に利便性の低下が始まっており、通院に困っている方々が出ています。天北線や池北線(ふるさと銀河線)など道内でバス転換した長大路線では、いずれも乗客が減少し、地域公共交通の衰退に喘いでいる例が少なくありません。このような状況で、根拠も示さず「とにかくバス転換しろ」と言うのは交通弱者の困難を配慮しない主張であり、この段階でのバス転換を受け入れることはできません。
二.説明責任を果たして情報公開を
日高線の議論において最も大切なことは、「スピード感」ではなくて、「住民が真に安心して利用できる公共交通か否か」ということではないでしょうか。公共交通を利用する住民自身が、その内容を十分に検証できるように、日高線をめぐる会議や協議の内容・発言・資料等の情報を、行政が公開し、住民への説明責任を果たすことを求めます。
三.国が責任を果たすべき
そもそも今日のJR北海道の維持困難路線の問題は、「地方の問題」ではなく、JR北海道の経営危機の問題であり、32年前の国鉄分割民営化に端を発する国の政策の失敗によるものです。即ち、経営安定基金の運用益で赤字経営を補うという分割民営化時のスキームが破たんし、運用益の不足額が4600億円にものぼり経営を圧迫したことが、今日の問題の本質です。国鉄改革関連法案が成立した際の国会で「国及び各旅客鉄道株式会社は、経営の安定と活性化に努めることにより、収支の改善を図り、地域鉄道網を健全に保全し、利用者サービスの向上、運賃及び料金の適正な水準維持に努めるとともに、輸送の安全確保のため万全を期すること」「輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと」とする附帯決議が行われ、国もこの決議を尊重することを表明しています。 国の政策の失敗は、国が責任を取るべきであり、こうした歴史的経緯を考えても、地方の路線を廃止して「解決したことにする」べきものではありません。日本全体における北海道の果たす役割と鉄道の公共性に鑑み、国が責任を持って新たなスキームを構築すること、被災していない日高門別までの区間で速やかに運行を再開することを求めます。
四.今こそ「公共交通」の再考を ~鉄道復権に向かう世界
世界では、いったん民営化された公共サービスの再公有化の流れにあります。ヨーロッパでは鉄道の連邦政府や地方政府による運営は当然で、公共交通の運賃無料化に踏み切る国や都市の例さえ出てきています。公共サービスを企業が担い、赤字だと公的責任を放り出して撤退するのが当然とされる日本は今や世界から周回どころか数十周も遅れています。 欧州など世界各国の先進的な鉄道政策に倣い、日本も今ある鉄路を有効活用して、地方と中央との人・モノの移動をより活発にすることにより、一極集中と過疎を同時に緩和することができます。地方の鉄道は、どこも美しい景観と田舎の叙情とを併せ持つ地域の宝=国民の財産であり、地方は一次産業と国土保全の最前線であります。地方の鉄道をめぐる論議は、短期的には廃止の方向に見えても、長期的には世界の趨勢に戻る日が来ざるを得ないでしょう。日高のみならず、北海道、日本全体のためにも、JR北海道の問題は、「公共」とは何かを問い直す機会でもあります。公共交通は私たちの生命を保障するものであり、廃止は生存権を失うことと同じです。私たちはみずからの命の問題として、今後も鉄路維持を訴え続けます。
五.オール北海道で根本的解決への論議を
鉄路の維持・再生は、札幌圏を含む北海道の将来を左右する全道民的な課題であり、また被災した鉄路の災害復旧は北海道だけでなく全国的な課題です。これらの問題を、地域ごと、路線ごとの問題ではなく、全道全国の鉄路維持、公共交通のあり方、私たちの交通権の問題ととらえ、原点に帰っての根本的解決への論議を呼びかけます。
2019年 1月 9日
JR日高線を守る会
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